異分野のものを取り込んで自分のアイディアや作品を進化させよう

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異分野のものを取り込んでみよう

本記事はクリエイティビティを学習可能にする講座の第8回目です。

今回は歴史の話も含めて、異分野のものをインプットする効果を解説します。

先進国が北半球に集まっている理由

シルクロードがもたらした価値

世界地図を見てみてください。先進国と呼ばれる国はどの辺に位置していますか?北半球に集まっていると思いませんか?実はここが重要なところです。

先進国と言えばルネッサンス以降から現代までは欧米、ルネッサンスより前は中国や中東です。いずれも北半球に位置しています。

これには理由があります。シルクロードを通して文化が伝わるとともに、シルクロードを活用した国は異国の技術・文化を取り込んで自国の技術・文化を進化させてきたからです。

自分の知識だけで考えるよりも、他人の知識を借りた方ができることは増えます。同様に国でも自国にはない他国の技術・文化を仕入れることで、できることも増えますし、国内に普及する商品やイベントも増えます。

クリエイティビティにおける異文化を取り込むことの価値

クリエイティビティという観点から考えてみましょう。異文化の技術・文化を自国の技術・文化に融合させることは、新たなものを生み出すことにつながります。

みなさんは世界史の教科書や資料集でガンダーラ仏の写真を見たことがあるかと思います。ヨーロッパ風になった仏像です。これは仏像という東洋の作品に西洋の芸術表現を取り込んだものです。このように異文化の技術・文化・芸術などを取り込むと、新たな表現が生まれます。

またパスタは中国のうどんをヨーロッパ人がヨーロッパ風にアレンジしたものです。

異文化のものを取り込むことで人類の歴史が進化してきたのです。いいアイディアが出ないときは、今まで知らなかった分野の本を読んでみるのも一つの手だと考えられます。

異国の文化を取り込んで進化してきた
人類は異国の文化や技術を自国に取り込むことで、自国の文化や技術を進化させてきました。

作曲家は様々な音楽を学ぶ

私は趣味で作曲をやっています。

作曲本を読んでいて気付いたことがあります。ポップスやロック、CM、劇伴(映画やドラマのBGM)など現代音楽の作曲家でもクラシックやオーケストラの勉強をしています。前者と後者は音楽としては別カテゴリーです。

特にポップスやロックではいわゆるバンド形式のドラム、ベース、ギター、ボーカルを基本構成とし、たまにキーボードがいるのが一般的な形です。クラシックとは音楽の特性も楽器の構成も全然違います。

しかし現代音楽でもストリングス(バイオリン、ヴィオラ、チェロなどの総称)やブラス(管楽器)は使われます。ストリングスやブラスをポップスに使うと盛大な雰囲気になります。つまり違うカテゴリーの音楽を学ぶことで、作曲家は自分の表現の幅を増やせるのです。

またジャズやボサノバ、ロックンロールなどの例も最近読んだ作曲本に書かれていました。特にジャズは参考になるテクニックが沢山あるから学んだ方がいいよと書かれていました。

また音楽理論はクラシックの時代から積み重ねられたものでもあります。カテゴリーが違っても共通点があることはあります。すると既に持っている知識を別の観点から見ることもできます。それにより応用という観点がでてきます。

あなたが知っているカテゴリーと関連するカテゴリー、お隣さんに当たるカテゴリーなどを学ぶことで、あなたの発想の幅を広げ応用力を高めてくれる可能性があるのです。

色々なカテゴリーの知識を取り込もう
作曲家は色々なカテゴリーの音楽を学ぶことで、表現の幅を広げています。

アジャイルは異業種の手法を取り込んだもの

最近よく聞くであろうアジャイルという手法も、異業種の方法を取り込んだものです。

アジャイルには、トヨタ生産方式を中心とした日本の製造業が使っている方法が見られます。これをアメリカのソフトウェア企業がソフトウェア開発応用したのがアジャイルという手法です。製造業と情報通信業、ハードウェアとソフトウェアは同じモノづくり業ですが、特性が違います。近いところにあるカテゴリーと言った関係でしょう。

アジャイルは今ではソフトウェアのみならず、人事や営業も含め、あらゆる業務の改善活動に使われるようになりました。違うカテゴリーの方法を取り込むことで、新たな方法を生み出すこともできるのです。

アジャイルは生産管理を応用している
アジャイルはトヨタ生産方式を中心とした日本の製造業の方法論をソフトウェア開発に応用しています。

終わりに

今回は歴史の話も含めて異分野の知識・技術・文化・方法などを取り込むことの効果を解説しました。気が向いたところからでもいいので、行き詰ったときは、今まであまり触れたことがない分野の知識に触れてみるのもいいかと思います。

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