闇雲に手を動かすのではなくクリエイティブワークのプロセスに沿って作る

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クリエイティブワークのプロセスを使う

本記事はクリエイティビティを学習可能にする講座の第1回目です。今回はクリエイティブワークのプロセスについて解説します。

何か作ろうと思ったけど、いいアイディアが思いつかないということはあるかと思います。かといって闇雲に手を動かしても、いいものは作れません。

そこで私からの提案です。クリエイティブワークプロセスに沿ってみましょう。手順に沿って作ることで、必要な材料を集めやすくなります。

クリエイティブワークのプロセス

クリエイティブワークのプロセスについて、まずは画像を提示します。

クリエイティブワークのプロセス
クリエイティブワークにはプロセスがあります。順を追って作業をすることで、作業をしやすくできます。

制作とテストはイメージが付きやすいと思います。その名の通り、作ることと検証することです。他のフェイズについてはイメージが付きにくいかもしれません。そのため別の見出しで解説します。

図を見ての通り、手を動かすのは後ろの方のフェイズです。手を動かす以前の、考えたり決めたりするフェイズの方が長いのです。ここが重要なポイントです。

プロセスによる制約

何もない状態から考えて決めるのは困難です。それゆえクリエイティブワークにもプロセスが存在しています。

どこで読んだか忘れましたが、有名な建築家が「制約がある方がクリエイティビティが高まる」と言ったそうです。建築の場合、土地の形(四角や三角など)や立地、用途などが決まってからどういう建物にするか検討します。つまり土地の形や立地、用途が決まるからこそ、アイディアが出せるようになるのです。

これに倣うと、順番に少しずつ固めていくことで作りやすくなると考えられます。いいアイディアが思いつかない、自分にはクリエイティビティがないという方は、まずはプロセスに沿って1段階ずつ決めていくことを私は提案します。

企画フェイズの意義

企画フェイズでやることは、何を伝えるか?というコンセプトを決めることです。

コンセプトの役割

コンセプトを決めることで、アイディアを考えるときも、取捨選択に迷ったときも、コンセプトを基準に考えることができます。

いわばぶれないためのです。軸があることで、当初と違う方向性に進んで路頭に迷うということを防げます。また手段が目的化したりするのも防げます。迷ったときにコンセプトに立ち返ればよいのです。

またチームで何かを作るときにもコンセプトは役立ちます。メンバー全員で目的を共有できるからです。

コンセプトの役割
コンセプトが決まると方向性が定まります。これにより収束しない議論や見当はずれの方向に向かうこと、軸がぶれることなどがなくなります。

コンセプトに沿った例

例えば「楽しい」をコンセプトとした場合を考えてみましょう。

すると楽しいイメージに沿った表現を行うことになります。コンセプトが楽しいなのに、暗い雰囲気や寒色、ネガティブな言葉を使ったら矛盾してしまいます。そのためコンセプトに沿わない表現やアイディアは使わないようになります。

楽しいがコンセプトであれば、明るい色やポジティブな言葉、楽しそうにしている写真などを使った方がいいという考え方になります。コンセプトによって方向性が定まるのです。

方式検討フェイズの意義

方式検討フェイズでやることは、コンセプトを伝える媒体を決めることです。

コンセプトによって媒体を絞り込める

例えば新鮮なフルーツを使ったスムージーを作ったとしましょう。この商品の売りはフルーツの美味しさが詰まっていることです。コンセプトはフルーツの美味しさを伝えることになります。

スムージーですので、お店で流通します。すると媒体はTVCM、広告、商品パッケージなどになります。TVCMはYouTubeで流してもいいですね。

このように伝えること(コンセプト)が決まると、次は伝える媒体を決めることになります。コンセプトによって適切な媒体は異なるため、媒体選びの範囲をコンセプトで絞り込むことができます。

媒体の役割
コンセプトに沿った媒体を選ぶことで、さらに議論やアイディアの範囲を絞り込めます。

コンセプトを伝えるのに最適な媒体を選ぶ

続いてもう1つ例を考えてみましょう。今度は家族や友達をテーマとして伝えたいとしましょう。抽象的なお題ですね。

こういうものを伝えているものとして、映画やマンガ、ドラマ、ゲームなどが思いつく方もいらっしゃると思います。その通りです。

伝えたいことを最も伝えられる媒体を選べばよいのです。ただし実際の仕事においては、予算や政治的事情という別の制約も存在する可能性があります。本題からずれるので、ここではこれらの詳細について触れません。

設計フェイズの意義

コンセプトと媒体が決まったら、次は設計です。設計フェイズでやることは、アイディアを集め、表現手法や技術を選択することです。

設計の例

「楽しい」がコンセプトで、媒体が広告の場合を考えてみます。

この場合、下記のような表現手法が考えられます。

  • 楽しそうなシーンの写真、例えばみんなでワイワイにぎやかに楽しんでいそうな写真を使う
  • ゆるいキャラクターのイラストを使う
  • 明るい色を使う
  • 素材を沢山配置してにぎやかさを出す

コンセプトと媒体が決まれば、こういう素材を使えばいいんじゃないか?こういうフォントとか色はどうか?というアイディアを集めやすくなります。アイディアの方法性が決まってくるためです。

またアイディアを実現するための素材や、素材を作る技術、表現する技術(レイアウトやタイポグラフィーなど)なども決まってきます。

コンセプトと媒体を決めることの効果
コンセプトと媒体が決まることで、使えるアイディア・素材・技術が絞られてきます。

終わりに

今回はクリエイティブワークのプロセスについて解説しました。これによって少しずつ方向性を絞ることで、アイディアを出しやすくなると解説しました。

クリエイティビティが苦手という方、いかがでしたでしょうか?今回の講義でクリエイティビティについて少しでもイメージがついていただけると幸いです。

今後も引き続き、クリエイティビティを高めるのに役立つ手法や考え方を解説していきます。楽しみにご期待ください。

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