投資対効果を計算しよう|DCF法による計算の練習問題

前回はDCF法による投資対効果の計算について解説しました。
今回はDCF法の練習問題を出します。
練習問題
練習問題を3問用意しました。どちらもExcelでやってください。割引率もExcelで計算してください。我こそはという猛者は電卓と手書きでもよいです。その場合、現価係数を使うなら金額に1程度の誤差が出る可能性があります。
練習問題1
A社は5,000万円の機械を全額自己資金で購入しました。使用期間は5年の予定です。減価償却は定額法で行います。この機械によってA社の営業利益は2,000万円増える見込みです。法人税率は30%、A社に対する投資家の期待収益率は5%です。
A社のこの投資のNPVを計算し、投資すべきかどうかを判断してください。
練習問題2
B社は2億円で工場を建てました。資金はすべて借入で、金利は5%、借入期間は5年です。使用期間も5年の見込みです。減価償却は定額法で行います。この工場によってB社の売上高は8,000万円、コストは3,500万円増える見込みです。法人税率は30%です。
B社のこの投資のNPVを計算し、投資すべきかどうかを判断してください。
練習問題3
C社は150百万円で新店舗を建設しました。資金は自己資金が50百万円、借入が100百万円です。金利は5%、借入期間は5年です。使用期間も5年の見込みです。減価償却は定額法で行います。
この新店舗の売上高とコストをシミュレーションしたところ、下記のようになると予想しています。単位は百万円です。
科目 | 1年後 | 2年後 | 3年後 | 4年後 | 5年後 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 50 | 80 | 100 | 110 | 120 |
コスト | 50 | 50 | 60 | 60 | 60 |
C社の他の店舗は黒字ですので、この新店舗の営業利益が赤字となっても、全社では黒字という想定で計算してください。
C社のこの投資のNVPを計算し、投資すべきかどうかを判断してください。
練習問題の解答
それでは解答を書きます。計算過程として私が計算したExcelのキャプチャも貼り付けます。
練習問題1の解答
NPVは2,360万円です。NPVがプラスなので投資によるリターンはプラスです。よって投資を行います。
Excelはこんな感じです。

練習問題2の解答
NPVは-3,044万円です。NPVがマイナスなので投資によるリターンはマイナスです。よって投資を行いません。
仕事で投資を行わないという表現を使うと、ダイレクト過ぎると感じるかもしれません。その場合は投資を見送るという表現を使うとよいでしょう。

練習問題3の解答
NPVは-15百万円です。NPVがマイナスなので投資によるリターンはマイナスです。よって投資を行いません(投資を見送ります)。

注意点として、投資に使う資金に自己資金と借入の2種類があることです。利息がかかるのは借入だけです。
また今回は他の店舗が黒字なため全体が黒字であるという設定ですので、新店舗が赤字でも税金が発生します。もし単一店舗だけしか持っていなくて、なおかつその店舗が赤字なら、税金は発生しません。全社で赤字のときも同様に税金は発生しません。
終わりに
計算お疲れさまでした。大変だったと思います。1時間かかってしまったかもしれません。でも安心して下さい。これも慣れです。この講座では何度も言っていますが、会計は計算して慣れてください。慣れれば3問やっても10分程度でできるようになります。
割引という概念を使って投資対効果を計算できるようになれば、あなたも立派な会計通です。一般人からは会計に詳しい人と見られること間違いなしですし、会計に自信を持てるようになってきているかもしれません。