成熟度モデルに沿って業務を標準化し効率を上げよう

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成熟度モデル

成熟度モデルというものがあります。業務の標準化度合いを6段階で表したものです。

業務を標準化するということは、作業手順やノウハウをマニュアルなど文書として整理し、誰もが見れるように共有することです。また経験者が持つノウハウを社内研修などによって共有することも指します。

マニュアルを作ることは面倒です。しかし業務を標準化できている方が、効率や教育の観点では優れています。

今回は成熟度モデルについて解説した上で、架空の企業の例を出します。ビジネススキルアップや効率化、標準化で悩んでいる方の参考になれば幸いです。

最初に参考書籍を挙げてきます。私が持っている書籍の最新版です。長く増刷されているフレークワークの書籍ですが、AI時代になって新版になりました。

最強フレームワーク AI時代の知的生産力が劇的に高まる [ 永田 豊志 ]

成熟度モデルとは

成熟度モデルとは業務改善の実施レベルを6段階で表したものです。

業務を改善するためには、まずは多くの場合において属人的であろう業務を標準化することが必要です。標準化するということは図や文章で表す、すなわち形式知にするということです。マニュアルがいい例です。

標準化することで資料として共有や再利用ができるようになります。例えば上手くやれている人のやり方を共有したり、よく発生するミスを共有したり、新しい業務ができたときに、既存の業務の資料を参考にしたりできます。

また業務を標準化することで教育にも使えます。ベテランの技を形式知にして若手に教えるということができるからです。

あるいは異動になったばかり、採用されたばかりで右も左も解らない人にも、標準化されたマニュアルなどの資料を読んでもらうことで、業務のやり方を学んでもらうことができます。

こうして業務の標準化が普通になってくると、資産として知識や成果物が蓄積されていきます。

この実施レベルが、標準化の必要性が認識されていないレベルから全社で日常的に行われているレベルまで様々にあります。

標準化されていない状態とは属人性と暗黙知が普通の状態ですので、よろしくありません。標準化や効率性については別途記事を書いていますので、参考にしてみてください。

成熟度モデルの6段階

成熟度モデルでは業務の標準化レベルを6段階で表します。

レベル状態
0業務の標準化の必要性が認識されていない。
ルールがなく、個々人が行き当たりばったりでやっている。
暗黙知と属人性が普通になっている。
1業務の標準化の必要性は感じられているが、誰も標準的な手段を確立していない。
2ベテラン社員は標準化の手順を確立しているが、全体では共有できていない。
3業務プロセスが文書として標準化された状態。従業員が手順を共有化している。
マニュアルを元に社内研修なども実施。
4標準化された業務プロセスを実施し、改善活動も行っている。
マニュアルなど文書の修正も行われている。
5業務プロセスの改善が継続的に行われている。
従業員全員が標準化と改善を行っている。
成熟度モデルの6段階。最強フレームワークp90~91を参考に作成。

レベル0は暗黙知と属人性が普通になっている状態ですが、多くの職場でよくあることでしょう。

できればレベル3を目指したいところです。レベル5は高すぎるくらいなので、できている企業がどの程度あるか不明です。

私見ですが、有名なところだと無印良品が成熟度モデルの高レベルに該当すると考えます。無印良品ではあらゆるノウハウをマニュアル化しようという考えを取っており、MUJIGRAMという2000ページ以上のマニュアルを作っています。

https://president.jp/articles/-/52255?page=1

誰もが仕事での気付きをマニュアルに追加し、マニュアルを参考に仕事を行うことを習慣づけています。

成熟度モデルを使うメリット

成熟度モデルを使うことで、自社がどれくらいノウハウを形式知化できているか、業務効率に対する意識があるか、ノウハウの共有がなされているかを知ることができます。そしてそれらを高めることができます。

これが結果的に従業員の育成と業務効率の継続的な改善につながっていきます。そうすれば企業のパフォーマンスは上がるでしょう。

業務を標準化すれば、やり方をみんなで共有できるのです。書いた本人もしばらく別の業務に移った後に久々に戻ってきても、マニュアルを読めば思い出しやすいでしょう。

標準化することで共有ができるので、社内研修や社内勉強会を開いて、ノウハウを共有できます。全従業員のスキルを底上げできるのです。

上司や先輩の背中を見て学び、技を盗むのは20世紀のやり方です。21世紀ですので、ITの力も活用しつつ標準化や共有化を行い、効率良く知識を吸収した方がよいと私は考えます。間違いなく従業員のスキルアップのペースは速まるでしょう。

成熟度モデルを使った例

架空の企業A社で成熟度モデルを学ぶ

ここでは架空の企業A社の営業、開発、顧客サポート、バックオフィスについて例を挙げます。

現在A社の各部門の成熟度モデルの状態は次の表のようになっています。そして各部門とも成熟度モデルのレベルを1段階上げたいと考えています。

部門レベル状態
営業2プレゼン用テンプレートはあるが、ノウハウ共有があまりされていない。せいぜい先輩から後輩へのOJTくらい。
開発1属人生だらけで、その人しか解らないことが多い。
技術者の育成のためにも、知識の整理を行いたい。
顧客サポート3マニュアルはあり、研修も行われている。
しかし顧客満足度調査やマニュアルのアップデートが行われていない。
バックオフィス4マニュアルが整備され、ミスやシステムのリリース、法改正などが発生する度にアップデートされている。
しかしマニュアルのアップデート担当者は大体経験の多い社員。
A社の各部門の成熟度モデルの状態

営業部門の成熟度レベルを上げるためにできること

ノウハウ共有があまりされていないので、月1回など社内勉強会をやって、ノウハウを共有しましょう。こうすれば成熟度をレベル3に上げることができます。

またノウハウを共有することで、新規顧客の獲得率や受注率、既存顧客の維持期間などを伸ばせるでしょう。

開発部門の成熟度レベルを上げるためにできること

属人性だらけということで、まずは知識を整理して共有することが重要です。こうすれば成熟度をレベル2に上げることができます。

技術やツールの使い方について手順書を作れば、他の人もその技術やツールを使えるようになります。そうすれば属人性を解消できます。

またそうやって技術者同士で知見を交換すれば、技術的知識の幅を広げることができるので、技術者の育成もできます。

顧客サポート部門の成熟度レベルを上げるためにできること

顧客満足度調査やマニュアルのアップデートが行われていないとのことなので、やりましょう。こうすれば成熟度モデルをレベル4に上げることができます。

顧客満足度調査を行い、顧客が不満を感じていることに対して、回答方法の検討や製品開発へのフィードバックをしましょう。

また顧客からよく聞かれることや、担当者がよくやるミスをマニュアルに反映しましょう。そしてマニュアルが常にアップデートされるようにしましょう。

バックオフィス部門の成熟度レベルを上げるためにできること

今は一部の社員だけがマニュアルのアップデートをしているので、全員がアップデートするように変えていきましょう。そうすれば成熟度のレベルが5になります。

誰もが日常的に業務改善を行い、マニュアルに反映していけば、誰もがノウハウを共有できます。

終わりに

今回は成熟度モデルについて解説しました。

私自身もマネジメントや技術検証をやる立場として、技術の使い方の手順書やシステムの全体図などの資料を作ったことが何度もあります。やっぱり口頭より絵で共有した方が速いですし、資料を作っておけば、忘れても聞かなくて済みます。

もし資料がなければ、プロジェクトに新しいメンバーが入ったときに、すべてを口頭で解説しなければいけません。しかし資料化されていれば、それを読んでもらい、解らないところだけ質問してもらえば済みます。

資料を作ることは面倒ですが、それは必要な資料と不要な資料の区別がついていないからです。必要な資料を整えていけば、情報の共有化が進み、業務効率は上がります。

標準化や共有化をしっかりやって、業務効率を高めていきましょう。

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