受け身な部下に悩む上司へ|情報共有で部下の主体性を高め仕事を委譲しよう

部下が受け身だという悩みを抱えている上司は少なくないかもしれません。私も支援先の経営者からそのような悩みを聞きます。
そこで私が長年マネジメントに携わってきた経験から、情報の重要性と情報共有を活用して部下の主体性を引き出す方法について解説します。
どんなに経験やスキルがあっても情報がなければ仕事ができません。つまり情報共有ができていないと部下は受け身にならざるを得ないのです。
情報を共有することで部下に仕事を任せることができるようになり、チームとしてのパフォーマンスが上がります。
次のような方の参考になれば幸いです。
- 将来はマネジメントをやりたい方
- 部下が受け身で悩む管理職
- 経験の浅い管理職
- 経験の浅いプロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャー
部下が受け身だと悩む人の話で実感すること
部下が受け身で悩んでいるという話はマネジメントに携わっている方からよく聞きます。
しかし私がよく聞いてみると、どうやら断片的にしか情報を与えていないようだと感じます。
あるいは判断基準やノウハウが上司の頭の中にしかない暗黙知になっていると感じます。
部下が受け身になる理由は様々ですが、大きな理由の1つに情報がないから判断できず、一々上司にお伺いを立てないといけないというものがあります。
私自身もプロジェクトメンバーから聞かれて、「そういえばその事情は伝えてなかったなぁ」と感じることがあります。
情報の重要性
情報は特に判断において重要
仕事においてスキルと道具は重要です。どんな仕事でもこれらを使います。
しかしスキルと道具に並んで情報も重要です。マネジメントの仕事は判断が多々必要です。
そして判断基準に自社や顧客、案件などの固有の事情が絡んでくることが多々あります。どんな仕事でも、扱う製品やサービスの仕様という個別の情報が存在します。
よって仕事を進める上で情報は欠かせないものです。ここがとても重要なポイントだと私は考えています。
なぜなら私はプロジェクト型の仕事を長年やっていて、都度独自の情報を吸収する必要があるからです。また転職回数も多く、会社によってルールややり方が違うことも実感しているからです。

誰でも情報がなければ仕事できない
自社や顧客、案件に固有の情報は、判断や作業内容に影響します。これらを知っている人にしか判断できないことが沢山あります。
経験豊富なエンジニアだって、担当製品が変わったら、製品の仕様の理解から始めなければ仕事ができません。
この手続きはAさん、この製品の仕様はBさんしか知らないなど、情報を持っている人にしかできない、あるいは解らないことが会社には沢山あります。
言い換えると情報を持っている人は有利であり、社内である程度強い立場を取れるということになります。しかし属人性にもつながり、本人の仕事は増えてしまうため、非効率でもあります。
情報が与えられなければやらされ仕事になる
肝心なことは教えられず、言われたことだけやってろと言われて、モチベーションが上がる人はいないでしょう。
先ほども書いた通り、部下が受け身である理由の1つに、必要な情報が与えられていないというものがあります。
部下にやる気がないとか能力がないと考えてはいけません。その前にまずは必要な情報を与えられているかを考えましょう。
私はこれが重要だと考えています。理由は先ほど述べた通りです。
情報共有の効果
ゴールの共有はモチベーションアップになる
案件の意義や自社・顧客の置かれている状況、ゴールなどを部下に伝えましょう。ただの作業者ではなく、一緒にゴールを目指す仲間だというイメージを与えることができます。
やらされ仕事よりも一緒にゴールを目指す仲間だと思ってもらえる方が、人はモチベーションが上がるのが一般的です。
人間には承認欲求があるからこそ、自分が重要な存在である、自分には価値があると認めてもらえる方が嬉しいものです。
人はモチベーションが上がれば主体的に動くようになります。逆にモチベーションが低ければ受け身になり、言われたことしかしなくなります。

判断を委譲することで効率が上がる
何でもかんでも上司やプロジェクト・マネージャーの判断を仰ぐよりも、自分の判断で進められる方が、仕事はスムーズに進みます。また裁量がある方がモチベーションは上がります。
よって積極的に情報共有して任せた方が効率が良いです。属人性も減るため、負荷が平準化されます。
ただし任せる範囲は部下の経験やスキルを考慮しましょう。若手に高難易度や広いスキルが必要な作業を任せても、やりきれないでしょう。

情報共有することで任せられるようになる
人間には承認欲求があるため、認められて任されてこそモチベーションが上がります。
だから必要な情報は部下に与え、信頼して任せることが重要です。こうすることで部下のモチベーションは上がり、上司の負荷も下がります。
部下を信じて任せるということについては、大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメントという本に書かれています。
たとえ経験の浅い若手だろうと数日しか一緒に仕事をしない初めて会う外注業者だろうと、信じて任せることが書かれています。
私はこの考えにとても同意します。なぜなら私自身が若手の頃、「下っ端の分際なのだから黙って言われたことと決められたことだけやってろ」と怒られて不満を感じたからです。
これではモチベーションなど出ません。モチベーションが出なければ言われた最低限のことをやるだけになります。当然受け身な働き方になります。

部下を主体的にしたい上司が持つべき心構え
自分が優位に立つことよりチームのパフォーマンスを優先する
一般的に会社という場所は出世競争を従業員に求めています。競争ゆえ自分が優位に立てるような駆け引きをする人もいます。
度が過ぎる人になると、情報の隠蔽や属人化により自分の立場を強くするケースもあります。
あなたがマネジメントで成功したいのなら、信用の問題から、自分の立場を守ることは捨てましょう。自分の立場を守るよりも部下を活用した方がよいです。
チームのパフォーマンスが上がれば、みんなの残業が減り、あなたの仕事量も減ってあなた自身も楽になります。
部下に情報を共有して仕事を委譲し、部下を活かすことができるようになれば、あなたは人柄でも認められ、マネジメントの適性があるという評価も得られるようになるでしょう。

逆の視点から考える
逆の視点から考えてみましょう。
情報を隠蔽して、なんでもかんでも俺にお伺いを立てろという上司は信用できますか?そんな上司の元で仕事をして、モチベーションは上がりますか?仕事は進めやすいですか?
上司・責任者たる者の仕事はこうだとか、社内の管理職やプロジェクト・マネージャーはみんなこんな感じという会社は少なくないかもしれません。
しかしそんな考えは放っておきましょう。重要なことはあなたが慣習などに囚われずに正しいやり方でマネジメントを行い、良い結果を目指すかどうかです。
心理的安全性を作る
受け身な部下に主体的に動いてもらうためには、情報共有に加えて心理的安全性も有効です。
心理的安全性とは誰もが失敗を恐れることなく自分らしさを発揮できる文化のことを指します。とても重要ですので是非学んでください。詳細はこちらの記事に書いています。
ちなみに心理的安全性を作るために情報共有は有効です。情報共有プラスアルファで心理的安全性を実現でき、部下をさらに主体的にし、パフォーマンスを高めることができます。
また心理的安全性があると部下の方から上司のミスを補ってくれたり、上司が気付いていない視点でアイディアを出してくれたりします。
こうなってくると更にチームのパフォーマンスは高まります。
私も長年に渡りプロジェクトマネージャーをやってきましたが、プロジェクトメンバーに至れり尽くせりやってもらってきました。
情報共有と心理的安全性でこんなことが可能になります。
無名な小さい会社でもこういうことができたので、大企業の優秀な人を集めたチームでなければできないなんてことはありません。
私が心理的安全性を築くためにやってきたことについても記事を書いています。こちらも是非読んでください。
終わりに
今回は受け身な部下に悩む上司やプロジェクトマネージャーの方向けに、情報共有を行って部下を主体的に変える方法を解説しました。
いずれも私が長年に渡りプロダクトマネージャーとしてやってきたことであり、これによってプロジェクトメンバーに至れり尽くせりやってもらえました。
情報共有により部下に仕事を委譲し、部下を活用してチームのパフォーマンスを上げていきましょう。
マネジメントは他人の協力で成り立つ仕事です。だからこそ自分本位になってはいけませんし、他人に協力してもらえる姿勢で仕事に臨むことが大事です。
