アジャイルかウォーターフォールかの二元論以前にマネジメント力を磨こう

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マネジメント力を磨こう

今回は最近増えてきたアジャイルに関する話です。上手くいかないアジャイルプロジェクトを見て感じたことを書きます。

また何でもかんでもアジャイルにすればいいという意見や、ウォーターフォールのプロジェクトで痛い目を見たためにアジャイルに理想を求めている人たちの意見に対しても違和感があるため、本質的な観点から私見を書きます。

アジャイルウォーターフォールについては外部の記事を参照してください。

アジャイルソフトウェア開発

ウォーターフォール・モデル

マネジメントの基礎力が欠かせない

アジャイルかウォーターフォールかの二元論以前の問題

アジャイルにせよウォーターフォールにせよ、作業の洗い出しや工数見積もり、優先順位付け、ステークホルダーとのコミュニケーションなどができないと上手く行きません。ウォーターフォールは古臭いからダメ、アジャイルにすればいいという単純な話ではないのです(そういう考え方が少なからず存在しますが)。

ウォーターフォールにおいて計画が重要であることは言うまでもないです。しかしアジャイルなら計画が不要なわけでも見積に失敗してもいいわけでもありません。イテレーションを回しても毎度納期が後ろにずれていくアジャイルプロジェクトは存在します。

アジャイルにすれば上手くいくのではない

ウォーターフォールが嫌いだからアジャイルにすればいいという意見を聞くことがあります。先に書いたようにそんな単純な話ではありません。

アジャイルでは1サイクルが短くなるため、スピード感が増します。1週間で上流工程から下流工程までをこなして成果物を作らなければいけません。そうなると無駄のない計画や迅速な判断も求められます。また軸を決めなければぶれて右往左往してしまいます。

だからアジャイルにすればいいという単純な話ではないと私は考えています。マネジメントができないのにアジャイルだけ採用しても、上手く回せるとは思えませんし、現実に上手く回っていないプロジェクトが存在します。

アジャイルでも失敗することはある
アジャイルでも炎上プロジェクトは存在します。マネジメントがちゃんとできないと炎上します。

勘違いアジャイルに注意

ウォーターフォールに対する不満は存在する

勘違いアジャイルとかなんちゃってアジャイルと呼ばれる似非アジャイルが存在します。ウォーターフォールのプロジェクトで長時間労働を強いられていると、こういう考え方をしたくなるのも解ります。

計画を立てたくない、マイクロマネジメントをされたくない、ドキュメントを作りたくない、自由にモノづくりをしたいなど、現実の仕事に対する不満は確かにあります。多重請負のウォーターフォールのプロジェクトでは起こりがちなことです。

そんなウォーターフォールに不満を抱いてアジャイルに憧れを抱いている記事や投稿をネット上でたまにみかけます。しかし間違えると勘違いアジャイルにつながります。

アジャイルは自由奔放なのではない

ステークホルダーに計画を見せず、状況報告もせずでは、ステークホルダーと合意が取れません。アジャイルサムライという本にも書かれていますが、アジャイルでは顧客に価値を届けることが重要です。

アジャイルサムライ 達人開発者への道 [ ジョナサン・ラスマセン ]

よって自分たちが好き勝手に自由奔放に作業をしていては趣味と変わりません。ステークホルダーとのコミュニケーションが重要であり、そのために必要な管理業務や資料作成は発生します。

アジャイルはマネジメントを放棄して自由を手に入れることではありません。アジャイルは先の見通しが難しいけど速さが求められる状況で使うマネジメント手法です。そして何より、顧客に成果物を毎回のイテレーションで届ける必要があります。

適宜使い分けてハイブリッドも使う

ウォーターフォールかアジャイルかに関わらずマネジメント力が必要なことがお解りいただけたでしょうか?本当に大事なことはアジャイルかウォーターフォールかではなく、顧客に価値を届けることです。

残念ながら偉い人のご機嫌取りが目的化している職場はあるでしょう。そのために政治的事情があってウォーターフォールしか採用できないことも少なくはないと思います。ウォーターフォールに固執する人たちは存在すると私も感じています。

みなさんはマネジメント力を磨き、どちらの手法でも上手く回せるようになってください。やることややり方が決まっているときはウォーターフォールの方が最短距離でゴールにたどり着けます。やったことがないことや反復による学習効果を得たいときにはアジャイルが向いています。

ちなみに有名な日本酒である獺祭の開発はアジャイル的に行われています。1週間単位の反復型開発でよりおいしい酒を造れる方法を確立し、品質を高めています。

獺祭の経営手法と歴史的経緯が面白かった

アジャイルとウォーターフォールを上手く合わせて使う
活動内容に応じて使い分けたり、いいとこ取りしてハイブリッドにしたりしましょう。

マネジメント力を磨く

次に挙げる項目をしっかり決め、状況に応じた対応や、先を見た対応ができるようになりましょう。

  • 目的(何のために?)
  • 目的を達成するために必要な作業と順序
  • コミュニケーション
  • プロセスやツール

これらをしっかりできるようになってください。そうしないとアジャイルでもウォーターフォールでも上手く行きません。

マネジメント力
マネジメント力を磨き、アジャイルでもウォーターフォールでも上手く回せるようになりましょう。

終わりに

私は以前からアジャイルにすればいいとか、勘違いアジャイルに疑問がありました。さらに炎上するアジャイルプロジェクトを見て今回の記事を書こうと思いました。

一方でウォーターフォールへの固執も私は好きではありません。ウォーターフォールは万能ではありませんし、仕事において最初からすべてを見通すことは不可能です。しかし保守的でウォーターフォールに固執する人たちはそういうことを見落としており、ウォーターフォールの炎上プロジェクトは数多く存在します。

単純な二元論に走らず、マネジメント力をしっかり身に着けて、プロジェクトを上手く運営していければいいなと思います。みなさんも安易な二元論に走らず、マネジメント力や本質を大事にしてください。

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