プロボノとは?活動内容とメリットを実体験から語る

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プロボノ活動の内容と メリットを実体験から語る

2010年代に入ってからでしょうか。プロボノと言う言葉を聞くようになりました。大企業でもプロボノに取り組む企業が出てきました。

そこで私もコロナ禍になってから取り組んできました。コロナ禍で趣味の仲間との交流ができなくなったことと、自分にできることを模索するためです。

結果的に色々経験できて、自分の向き不向きややりたいことが明確になったと感じています。

そこで今回はプロボノに興味がある方、プロボノをやってみようという方のために、実体験やNPO関係者と話した経験から、プロボノについて書いてみます。

あなたにとって今後のキャリアを広げることにつながれば幸いです。

プロボノとは?

プロボノの語源

プロボノのの語源はラテン語の「Pro Bono Publico」です。これは公共善のためにという意味です。

昔アメリカで弁護士が貧しい人たちのために無償で仕事をしたことがあったそうです。貧しい人たちが対象だったので、借金があるとか劣悪な労働条件を結ばされていたのかもしれません。

貧しい人を助けるという行為は社会性のある行為です。貧困は立派な社会問題です。

貧困になると教育を受けられないため、知識がないから劣悪な条件の仕事ばかり選んで心身を壊し、更に貧困になるという悪循環に陥ることが考えられます。

これを弁護士というとても高い報酬がかかる人が無償でやったのです。そこから無償でスキルを提供するボランティア活動をプロボノと呼ぶようになったそうです。

プロボノの定義

プロボノの定義として一般的に言われていることは、経験やスキルを活かしたボランティアです。しかしここにもう一つ加えておきたいのが、社会性や公共性があることです。

経験やスキルを活かせる仕事ならなんでもいいのかと言うと、そうではないです。

社会課題の解決につながるとか、立場が弱くて困っている人(主に子ども、高齢者、障がい者、怪我や病気をしている人など)を助けることなどの方がよいでしょう。

プロボノかどうかの境界線が実は曖昧なんじゃないかと私は感じています。経験やスキルが必要なら、なんでもプロボノになっている気もします。

ここでNPOの中の人から一つ教えてもらいました。やはり社会性や公共性が大事で、一概には言えないけど会社などの営利法人の仕事は少し性格が異なるとのことでした。

あくまでもこれは私個人の意見で、NPOなど非営利法人の人は違うことを言うかもしれませんが書いておきます。

社会課題のための事業なら、営利事業でも非営利事業でも、手伝えばよくないか?自分にとって関心がある社会課題に取り組んでいる組織や事業を手伝えばよくないか?

私は地方創生や女性活躍、伝統工芸の維持、多様性の推進、社会人が誰でも気軽に学べる機会の提供などをやりたいので、そういうことができるならNPOなどの非営利法人の仕事でも会社のような営利法人の仕事でも、やってみました。

しかしNPOやボランティアのガチ勢からしたら、営利法人の仕事は邪道かもしれません。

プロボノの案件紹介サイト(求人サイトみたいなイメージのもの)では、NPOだけでなく地方の中小零細企業が紹介されており、非営利法人に限ることはないようです。

元々プロボノはNPOのような非営利法人を対象としていたようですが、近年になって地方の地場中小企業も対象に加わってきたようです。これは地方創生という社会課題の解決のためかもしれません。

正直言ってプロボノに当たるかどうかの境界線は曖昧に感じます。

だったらご自身が感じている社会課題につながることにチャレンジしてみませんか?私はそう思います。

プロボノ活動について

よくある活動

プロボノ活動はスキルが要ることならなんでもあります。それこそ私は写真を撮るのが趣味のため、写真や動画の撮影をやりました。

一般的には営業、マーケティング、デザイン(広告やパンフ、Webサイトなど)、ITシステムの導入や設定など、フリーランスによくありそうな仕事はあるようです。

それこそクライアントが抱える課題は様々ですので、クライアントごとに異なる課題があります。

私が以前、プロボノの案件を紹介してもらっていた団体では、ミッション・ビジョン・バリューの策定支援をやっていたこともあるそうです。一方でイベントの企画や運営も支援していました。

代表的なクライアント

プロボノ案件のクライアントの9割くらいはNPOなどの非営利法人です。しかし1割程度は中小零細企業のこともあります。

私が見学会に参加したことがあるプロボノ団体では、年間売上5億円以下の法人であることを条件に、NPOや中小零細企業の支援を行っていました。

また中には地方創生ということで、都心で経験を積んだ人が地方の地場企業(NPO、地域団体、地元の老舗中小企業など)の支援をするというプロボノ案件もありました。

あるいは本気で日本を変える事業を行いたいからプロボノ募集なんていう求人のようなものも時にはあります。これは新規事業を始めたい中小企業やベンチャーがクライアントの案件になります。

探し方

プロボノ案件を探すのはとても難しいと私は実感しています。主な探し方は案件紹介サービスやマッチングイベントです。

案件紹介サービス

一番有名なサービスはサービスグラントです。おそらく案件数も知名度もトップクラスでしょう。

サービスグラントはプロジェクト型の仕事をやっています。一定期間だけプロボノをやってみたい、異業種や異職種の人と一緒に仕事をしてみたいという方におススメです。

他にはactivoというサービスもあります。こちらも案件数は多いです。こちらはどちらかというとプロジェクトではなく、特定の法人をずっと支援する、つまりスタッフとして勤務するイメージですね。

https://activo.jp

横浜にお住いの方なら、サービスグラントの横浜版としてハマボノというものもあります。横浜のクライアントを支援できます。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/care-system/hamabono.html

マッチングイベント

私が個人的に面白いと感じているのがキャリアフライトです。

https://career-flight.net

キャリアフライトはプロボノ活動を積極的に推進しています。そして年に2~3回くらいマッチングイベントを開催しています。

マッチングイベントは基本的には地方プロボノと呼ばれるもので、地方のNPOや地元団体、老舗中小企業などの支援を目的としています。

地方の企業の経営者や管理職が課題をプレゼンし、参加者は自由に質問できます。そして自分が興味を持った企業を支援するというものです。

またキャリアフライトではたまにベンチャー向けのマッチングイベントが開催されることもあります。

私はキャリアフライトのマッチングイベントに何度か参加したことがあり、支援先を知ってから取り組めるため安心感もあると感じています。

プロボノ団体

プロボノに参加するならプロボノ団体という選択肢もあります。私もプロボノ団体に入って活動していました。

プロボノ団体は会社のプロボノ版みたいなものです。プロボノ団体がクライアントを開拓して、あるいはクライアントがプロボノ団体に依頼して案件が発生します。

そして受けた案件に対して、プロボノ団体の運営チームが団体のメンバーをアサインします。

やっていることは会社みたいですよね。これの無償バージョンと言ったところです。

プロボノ団体はとても少ないです。おそらくインターネット上に公開されていない、主に士業などを中心とした団体はあるのでしょう。

ここではインターネット上に公開されている数少ないプロボノ団体を紹介します。プロボネットという団体です。正直言うとガチ勢の修行の場みたいなプロボノ団体です。

私はプロボネットの説明会に参加したことがありますが、大企業グループの取締役や部長は当たり前(むしろそれより下が私しかいなかったです)、MBAや士業も当たり前というガチ勢集団でした。

プロボネットが対象とするクライアントはNPOなどの非営利法人と、年間売上高が5億円以下の中小営利法人です。ガチの経営コンサルを提供しており、クライアントからの評価は高いようです。

残念ながら案件数が少ないという点がネックですが、スキルや経験重視でプロボノをするなら圧倒的に飛び抜けた団体であることは間違いないです。

https://www.probonet.jp

案件の形態

プロボノ案件のほとんどはプロジェクト型です。単発のプロジェクトに様々な社会人が参加します。

期間は大体3~6ヶ月くらい、人数は6人くらいが多いようです。

特定のクライアントを長く支援し続けたい場合は、activoでボランティア求人を探すか、キャリアフライトで企業が出すプロボノ求人を探すのがよいというか、それくらいしか選択肢がないです。

プロボノ活動をするメリット

独学や趣味レベルでもやらせてもらえる

まず最初に私が挙げたいプロボノのメリットは、独学や趣味レベルでもやらせてもらえることです。

私は一眼レフを持っていて写真を撮るのが趣味です。それゆえイベントの写真や動画の撮影をやらせていただきました。

勿論素人だから下手ですが、それでもプロボノを依頼するクライアントは小規模零細組織ゆえに人手が足りないので、経営者からまた頼むよなんて言ってもらえたりします。

私と一緒にプロボノに取り組んだ人の中には、独学でファンドレイジングを勉強してNPOの資金調達を手伝っている人や、プロボノでマネジメントを経験してベンチャーにマネージャーとして転職した人もいました。

このように実務経験がなくても、独学や趣味の特技を活かして経験を積ませてもらえるのは、本業や副業ではありえないメリットです。

ちなみにこちらに副業、プロボノ、一般的なボランティアそれぞれの特徴を書いています。参考までに読んでみてください。

https://note.com/biginuneko/n/n25f5686bdc6c

スキルアップに活用できる

プロボノのクライアントは小規模零細組織です。それゆえ経営者との距離が近く、経営者と一緒に事業やイベントの企画などの上流工程をやる機会があります。

普通はこういう仕事を本業でやろうとしても、優秀でなければやらせてもらえないでしょう。

人手不足の小規模零細組織をクライアントとしているからこそ、そして経営者と距離が近いからこそ、プロボノでは色々な仕事を体験できます。

経営者の話も直接聞けます。社会課題に対する熱意を聞くこともモチベーションになります。

勤務先を客観的に見れる

勤務先に不満がある人は多いでしょう。しかしプロボノで他社の人と組んで一緒にプロジェクトをやったり、他社の中の人として活動したりすることで、自社と比較できます。

すると自社の良い点と悪い点に気付けます。不満はあるけどこういう点は他社よりいいのかな?と思えることも出てきます。

比較することで気付くことはあります。自社と他社を比較できることもプロボノのメリットです。

経験が浅くても活躍のチャンスがある

プロボノを依頼するクライアントは小規模零細組織ゆえに人手不足です。よって人手があるだけありがたい状況です。

また無償で手伝ってもらうゆえに高いレベルは求めていません。そもそも高いレベルを求めるならお金を払って専門家を雇えという話です。

そして会社も職種も違う人が一緒にチームを組んで仕事します。それゆえに経験が浅い人でも専門家として頼られる機会があります。

私が趣味レベルでカメラマンをやっていられたのもそうです。他に写真が趣味の人や職業カメラマンがいなかったためです。

サービスグラントのインタビュー記事では、新卒2年の営業職の人が、チーム内に営業の人がいないゆえに自分が一番詳しい人になったという話をしていたことがあります。

新卒2年で10~20年も社会人をやっている先輩に教える側になるって凄いことですよね。本業ではありえない話です。普段は別の会社に勤める別の職種の人が集まったチームならではの現象です。

このようにプロボノでは経験が浅くても活躍できるチャンスがあります。

プロボノ活動を利用したパラレルキャリア

プロボノ活動はパラレルキャリアにも有効

ここまで書いてきたように、プロボノ活動には多くのメリットがあると同時に参入のハードルが低いです。

それこそ独学レベルでも試せますし、経営者と一緒に仕事し、経営者の悩みを聞いて解決することで学べることも大きいです。

よって本業と組み合わせてパラレルキャリアにすることで、相乗効果を発揮してスキルアップやキャリアアップを狙えます。

本業は収入、やりがいはプロボノ活動という棲み分け

本業がないと収入を得られないけど、本業にやりがいを感じていない方は、プロボノ活動を組みあわて棲み分けするのも手です。

本業で安定した収入を得て、プライベートではプロボノ活動をすることで、やりがいを手に入れるのです。

プロボノを依頼するクライアントは社会性のある事業に取り組んでいる中小零細組織です。それゆえ経営者から社会課題に対する熱い想いを聞く機会もあり、やりがいにつなげやすいです。

プロボノ活動から副業や独立へ展開

将来は独立したいという方は、まずはやってみたいことに近いことをプロボノ活動でやって実績を積むという選択肢もあります。

世の中は何をするにも実績を求められます。新卒でいい会社に就職するなら学歴、転職なら職歴が求められますが、これらは実績として求められているのです。

だからプロボノ活動で実績を積み、十分に慣れてきたら副業として受注するという流れに持っていくのです。そして副業として顧客が増えて軌道に乗ったら、本業として独立するのです。

またプロボノ活動で経営者と一緒に仕事することで、経営者の仕事や考え方を学べます。この経験が将来独立するなら役立つはずです。

終わりに

今回はプロボノについて実体験とNPOの中の人から聞いた話を基に書いてみました。

プロボノは有効に活用できますし、やりがいも得られます。そして世の中はパラレルキャリアの時代になってきています。

ご自身のキャリアを拡張する選択肢として是非プロボノを検討してみてください。そして興味を持たれたら、実際にやってみてください。意外とハードルが低くて参入が簡単な世界ですよ。

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