これからの経営戦略にはデザイン経営が必要だ!その理由と効果を成功企業と併せて解説

私はこれからの時代の経営にはデザインの力が重要だと考えています。同時に日本企業が欧米企業に対して弱いのもブランド力とデザインだと考えています。
それゆえデザインに着目して、デザイン雑誌やデザイン書を学び、アマチュアクリエイターとして活動することで、デザインの勉強をしています。
今回はこれからの経営戦略にデザイン経営が必要な理由とデザイン経営の効果、成功企業の例を解説します。
デザイン経営に興味がある方やデザインを勉強している方はもちろん、経営戦略や競争力の強化で悩む経営者や管理職の方、製品やサービスの開発に携わる企画・開発職の方の参考になれば幸いです。
デザイン経営とは
経産省の定義
デザイン経営は経産省が宣言したものです。PDFとして経産省のサイトに公開されています。
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kodo_design/pdf/001_s01_00.pdf
ブランド構築とイノベーションにデザインの力を活かせること、欧米企業はデザインの力で成果を上げていることなどが解説されています。
日本企業は欧米企業に比べてブランド力やデザインで負けていると、私はずっと考えてきました。ようやく国も重い腰を上げてくれたのです。
見た目のデザインではなく経営のデザイン
デザイン経営とは見た目がカッコイイ製品やパッケージを作りましょうという話ではありません。
デザインには広義のデザインと狭義のデザインがあります。
広義のデザインとは計画や思考など仕組みや全体構成を考えることであり、狭義のデザインとは多くの人がイメージしている見た目のデザインです。
デザイン経営は広義のデザインを経営に活用することです。
デザイン経営が必要な理由
コモディティ化しているから
大量生産が可能な現代では、製品はコモディティ化しています。またサービス業に関しても類似のサービスが沢山あってコモディティ化しています。
これではどこの会社の製品・サービスを選んでも大差ないということになってしまいます。
よって他社と違いを明確にして、自社の製品・サービスを選んでもらうことが経営上は重要になります。
いいものを作れば売れる時代じゃないから
いいものを作れば売れる信仰は強いです。特にエンジニア、クリエイター、職人はそう考えがちです。
しかしマーケティング論でよく言われるように、存在を知ってもらえなければ売れません。
いいものを作れば売れたのは、もの不足だった高度経済成長期の話です。もの余りの現代では、いいものを作ることは当然として、いいものであることを知ってもらうための活動も欠かせません。
イノベーションが求められているから
大量生産が可能になってコモディティ化した現代では、今までにない新しいものが求められています。それにはイノベーションが重要になります。
いいものを作っても、それをしっかり宣伝したとしても、新しさがなければ売ることが難しい時代です。今までと同じなら、日用品か故障して買い替えが必要でもなければ、あえて買う理由もないですから。
デザイン経営の効果
ブランド力の向上
経産省のデザイン経営の資料でも触れられている通り、デザイン経営はブランド力の向上に活かせます。
近年のデザイン業界ではブランディングデザインという取り組みが行われており、上流工程に携わっていたデザイナーたちがブランディングに取り組むようになっています。
ブランド力の向上にはブランディングデザインがとても有効です。
ブランディングデザインとはブランド作りをビジネス活動の上流工程、すなわちビジネス課題の分析や事業・製品・サービスなどのコンセプトづくりなどから取り組んでいく活動です。
そしてコンセプトを決めたらガイドラインを作り、それに沿ってあらゆる顧客接点を設計・実装していきます。
デザインの考え方を応用して、ビジネスをデザインするという活動なのです。詳細はこちらに記事を書いていますので、是非読んでみてください。
イノベーション力の向上
先ほども書いたように、今はイノベーションが求めれている時代です。そこでデザインの考え方を応用してクリエイティビティを高める必要があります。
そこで有効な手法がデザイン思考です。
デザイン思考はデザイナーの考え方や制作プロセスを事業や製品・サービスの開発に応用する手法です。
顧客を深く理解し、プロトタイプを作っては顧客からフィードバックをもらうという行為を繰り返します。
デザイン思考を活用すれば、「うちの業界ではこれがスタンダードだから作っている」ではなく、「今の時代や顧客に求められているから作っている」という捉え方で事業や製品・サービスを開発できます。
また前例踏襲ではなく、あるべき姿で顧客にとって有用な事業や製品・サービスを開発できます。
デザイン思考の詳細はこちらの記事に書いていますので、読んでみてください。
デザインを活かして成功している企業
アップル
デザインを活かして成功している企業で世界トップクラスなのがアップルです。
アップルは洗練されたデザインにこだわります。パソコンを使う人が少なかった時代からずっと、画面デザインにもボディーのデザインにもこだわっていました。
アップルの洗練されたプロダクトデザインと使いやすい画面デザインにはファンが多いことがよく知られています。
ファンは信者とも呼ばれ、私の周りにもアップルが唯一絶対の存在だと言ってきかないファンが何人かいます。彼らはWindowsやAndroidを絶対に買わないどころか、否定すらしています。
アップルはデザインの力でブランドの魅力を作り込めば、ファンを作ることも可能という例です。
マツダ
マツダは2010年頃にデザインファーストを掲げ、魂動(KODO)デザインを作りました。それ以来デザインにこだわったものづくりを行っています。
この詳細についてはかつて一橋ビジネスレビューに掲載され、私も読みました。
マツダはデザインファーストに切り替えたことで、自動車のデザインが大きく変わり、ヨーロッパでの受賞も増えました。
自動車先進国でデザイン先進国でもあるドイツでも受賞しているほどです。
https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2020/202004/200401a.html
マツダはデザインの力で企業は変るという例です。そしてマツダの鼓動デザインは調べれば沢山出てきますので、是非調べてみてください。
ダイソン
ダイソンはデザインエンジニアリングで成功した会社です。
かつて一橋ビジネスレビューにその取り組みが掲載されました。理工系出身だがデザインを副専門で学んだ人を採用し、デザインとエンジニアリング両方の知識を活かして製品開発を行うというのです。
こちらの記事に詳細がありますので、読んでみてください。消費者を見極める、プロトタイプを作るなどはデザイン思考と似ているかもしれません。
終わりに
今回はデザイン経営が必要な理由と効果について解説しました。
今の時代の企業経営にはデザインが重要と私は考えていますが、デザインについて正しく理解されていないとも感じています。そこでデザインについて書くことにしました。
この記事があなたの事業や製品・サービスを進める方向性の参考になれば幸いです。