残業しない人が無能というのは間違っている!理由と残業を減らす方法を解説

最終更新日

残業しない人が無能と言うのは間違っている

一般的には残業すればするほど頑張っていて優秀と言われ、高く評価されます。しかし働き方改革によって、あまり残業しないようにしようという会社も出てきました。

一方で残業はしたくないという考えの人もいます。私も残業反対派で、定時帰りを繰り返しています。

しかし残業しない人は甘えている、サボっている、無能だという意見もあります。残業すればするほど頑張っている、辛くても耐えているという考えが根強いからです。

今回は残業しない人は決して無能ではないということをマネジメントの視点から解説します。

ただ残業が嫌いだからではなく、顧客に成果を届けるマネジメントという観点で見れば、残業は悪いことであり、残業しない人は無能ではないということを解説します。

残業すればするほど頑張っているという考えに疑問を感じている方や、残業が嫌いな方にとって参考になれば幸いです。また残業しないために仕事のやり方を変えようという方が一人でも増えてくれたら嬉しいです。

そもそも残業が発生する理由

マネジメントが下手だから

私は長年に渡りマネジメントをやってきました。だからこそ言います。残業はマネジメントの問題です。マネジメントが上手くできていないから残業が発生するのです。

つまり残業している人が頑張っているわけでも優秀なわけでもないのです。また残業しない人がサボっているわけでも、甘えているわけでもなく、無能なわけでもないのです。

強いて言うなら、残業が発生するということはマネジメントをしている管理職やプロジェクトマネージャーの力量に問題があるのです。

残業が習慣になっているから

残業が発生するのはあらゆる職場で当たり前となっているでしょう。

パーソルの調査によると、働き方改革によって残業が減ったとはいえ、未だに月平均25時間は普通のようです。働き方改革が始まる前は30~40時間は普通だったようです。

職種によって残業時間は大きくことなるので、営業や技術、専門職ではもっと多く、事務職はもう少し少ない可能性があります。

残業時間の平均はどのくらい?1日2時間は多い?残業が多い時の対処法も解説 – 業務管理・仕事可視化ツールならMITERAS(ミテラス)

人間は習慣の生き物ですので、習慣としてやっていることに疑問を感じることはまずありません。昔から当たり前のように残業をしているとなれば、残業があるのが当たり前と思うわけです。

すると残業を減らすとか、定時で帰るという発想は出て来なくなります。そして当たり前のこととして毎日残業します。

習慣で残業することはパーソルの記事でも書かれていることです。

職場の残業発生メカニズム──残業習慣の「組織学習」を解除せよ – パーソル総合研究所

スタッフサービスの調査によると、定時で帰れる職場は半分もあるようです。しかし言い換えると半分の職場では定時で帰ることはなく、残業を当たり前のようにしているのです。

52.5%の人が「わたし、定時に帰れません!」残業を減らすための仕事術とは|人材派遣会社は【スタッフサービス】

残業が賛美される文化が残業を正当化する

残業すればするほど頑張っているというイメージがある

一般的に残業すればするほど頑張っているというイメージは強いです。これは日本に限りません。

2023年にハーバード・ビジネス・レビューで、残業すればするほど高く評価され昇給・昇進しているという論文が掲載されました。

「多忙」を美徳とする企業文化から抜け出す方法

沢山残業するのは大変です。だからこそ残業すると沢山頑張ったという意識を持ちやすいのです。また残業を沢山できるということは、忍耐力があるので素晴らしいという捉え方もできてしまいます。

だからこそ残業すればするほど頑張っていて優秀、残業しない人はサボっていて甘えていて無能というイメージがあるのでしょう。

もちろんこんなのはおかしい話です。先ほども書きましたように、残業は個人の資質や能力ではなくマネジメントが上手いか下手かの問題です。

残業は美徳ではなく悪という記事も書いています。あなたが残業に懐疑的あるいは残業が嫌いであれば、こちらも参考にしてみてください。

長時間残業がジャパン・アズ・ナンバーワンを実現した過去があるから

日本は第二次世界大戦後に欧米をキャッチアップして、猛烈に働いて世界一になりました。ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれたものです。

しかしこれは欧米というお手本があり、欧米の真似をしたから量をこなせばよかったのです。また物不足ゆえに、沢山作って沢山売れば売れたのです。

しかし今はもう日本は先進国です。欧米を参考にすることはあれど、欧米をそのまま真似して右肩上がりの成長ができる社会ではありません。

物だって十分に行き渡っていますので、新しい価値のある物を作らなければ売れません。

よって沢山働くことよりも、新しい価値を生み出すことが重要になります。言い換えると欧米の真似をした製品やサービスを沢山作って沢山売ることよりも、クリエイティビティやイノベーションが大事な状態にあるのです。

受験や資格などの勉強で例えれば、ただ猛烈にテキストや問題集を片っ端から大量にこなせばいいのではありません。過去問を見て頻出する知識を重点的に学んだ方が、効率が良いのと同じです。

だからこそ沢山残業すれば偉いのではありません。

評価する人が残業を沢山して出世したから

働き方改革によって、沢山残業することはよくないことだという意識も広まってきました。しかしそれ以前は残業すればするほど偉いとか頑張っているという意識が強かったです。

それゆえ今出世している人たちは、沢山残業して猛烈に働くことで出世してきた人が多いです。

そういう猛烈社員からすれば、残業しないと経験値が増えなくてスキルアップできないという意見もあるかもしれません。

しかしそんな考えはナンセンスです。スキルアップしたければ、残業するよりもさっさと帰って勉強しましょう。仕事に必要なスキル・知識はとても広いのだから、勉強することは山ほどあるはずです。

残業よりも勉強してスキルアップしようという記事を別途書いていますので、参考にしてみてください。

マネジメントを上手くやれば残業は不要

ここまで書いて来たように、残業すればするほど頑張っているのでも、残業しない人が無能なわけでもありません。

残業はマネジメントの問題です。マネジメントが下手なら残業が沢山発生し、マネジメントが上手ければ残業は少なくなります。

ここからはマネジメントをどうやれば残業が減るかを解説します。これを読めば残業しない人は無能ではないことが解ると思います。むしろ有能だからこそ残業が減らせるのです。

効率的に仕事すれば残業は減る

効率的に仕事をすれば残業を減らせます。何も考えずに仕事をすれば残業は沢山発生します。

ということは残業を減らしてでも同じ成果を出せる人の方が有能であり、同じ成果を出すのに沢山残業しなければいけないのなら、能力が低いということです。

言い換えると残業しない人の方が有能で、残業が沢山必要な人の方が能力が低いのです。

仕事を効率化するためにできることは色々あります。まずは属人的なことを誰でもできるようにするとか、日頃から非効率と感じている箇所の改善をしましょう。

非効率な作業はツールや自動化によって改善しましょう。効率化して作業時間が短くなれば、その分だけ早く帰れる可能性が出てきます。

無駄を減らせば残業は減る

習慣的にやっている作業や、昔からこういうやり方だからという作業、マニュアルが古い作業など、形骸化している作業はあるものです。

最近私が読んだ本では、社内宛ての書類に封をしていたのを止めたと言う話がありました。習慣でやっているけど、実は社内宛てならなくてもいいじゃんという話だったのですね。これにより封をすることと開けることが全社で削減されたそうです。

「こんな作業何の役に立つんだよ…」なんて作業があれば、見直しのチャンスです。そうでなくても、昔から同じやり方をしているのなら、見直すチャンスです。

余計な作業は無駄な作業です。無駄を減らせば作業ボリュームが減りますので、残業時間も減ります。

形骸化した作業を見直すことについては別途記事を書いていますので、参考にしてみてください。

改善活動をすれば残業は減っていく

残業を減らす上で何よりも大事なことは、継続的に改善することです。

千里の道も一歩からと言います。仕事の効率を改善するのも、日々の地道な積み重ねが大事です。

運動を1日ガッツリやっても大して変わりませんが、半年や一年など続ければ体力がかなり付きます。仕事の改善もこれと同じで、日々少しずつやり方を上手くしたり、無駄を減らしたり、ミスが出やすい作業について仕組み化やマニュアルの整備をしたりするのです。

毎日残業を頑張っていると言って、仕事のやり方を何も変えない人と、日々仕事のやり方を改善して残業を減らしている人、どちらが無能でどちらが有能だと思いますか?

日々仕事のやり方を改善して残業を減らしている人は、残業が少ないから無能なのでしょうか?おかしいですよね。何も変えず漫然と残業している人の方が能力が低いでしょう。

継続的に仕事を改善することについては、別途記事を書いています。参考にしてみてください。

残業を当たり前と考えている人こそ無能

残業しない人は無能ではないということを解説しました。次は残業を当たり前と考えている人がいかに問題があるかを解説します。

あなたの周りで残業を賛美している人や残業を強制してくる人がいたら、次のような問題がないかよく見てみてください。そしてその人を反面教師にして、残業を減らす働き方を実践してやりましょう。

効率を考えていないから

残業を当たり前と考えている人や残業をすればするほど頑張っているという人は効率を考えていません。

効率化すれば残業は減ります。だから効率化する人が有能なら、残業しない人の方が有能になります。

残業する人が有能で残業しない人が無能という考えの人からすれば、効率化は敵なのです。

もっともそれ以前に残業を賛美している人の話を聞いていると、効率化なんて概念はなく、どれだけ沢山耐えられるかという根性論が出てきます。

確かに仕事には忍耐が必要ですが、忍耐が全てではないはずです。

時間と成果に対する意識が低いから

私は仕事は時間より成果と考えています。理由は顧客が求めているのは沢山残業することではなく、対価に応じた成果だからです。

例えばあなたが1万円のサービスを買うとします。お店からは「沢山残業して頑張ったから2万円にして頂戴、でも終わらなかったから納品物はなしね」と言われたらどう思いますか?

ましてや「こっちは沢山残業して頑張ったんだよ!」なんて付け加えて言われたらどうですか?意味が解りませんよね。

残業すればするほど頑張っているという考えはこれと同様と私は考えています。だから私は残業せずに顧客に成果を届けるマネジメントを意識し、毎日定時で帰っています。

たとえ毎日終電まで残業して、休日を返上しようとも、顧客に成果を届けられなければいけないというのが私の考えです。言い換えると、毎日定時でも顧客に成果を届けて顧客を満足させればいいという考えです。

この例から残業すればするほど頑張っている、残業しない人は無能と言う人は、時間と成果に対する意識が低いことがお解りいただけるでしょう。

残業を万能な手段だと考えているから

私は今まで、残業すれば何とかなる、残業でカバーするというプロジェクトをいくつも見てきました。まるで残業が狼人間を撃つ銀の弾丸であるかのようです。

しかし現実には残業してもメンバーの不満が増え、居酒屋に行く回数が増えて、居酒屋で愚痴を言うばかりです。何も生産的じゃないです。

確かに突発的トラブルに対して残業が必要なことはあります。しかし何でも残業でカバーすればよいでは、仕事の進め方について何も考えていないも同然です。

トラブルの予兆がしたら未然に潰し、残業が沢山必要な事態になったら優先順位に応じて作業を入れ替えるなどして、少ない残業時間で成果を納められるようにする方が上手いやり方だと私は考えています。

そういうことせずに何でもかんでも残業でカバーしていたら、本当に有能なのでしょうか?あなたはどう思いますか?私にはそんな人は有能に見えません。

頑張っているという自己満足を求めているだけだから

残業を沢山することを頑張っているという人は少なくないでしょう。ましてや沢山残業して出世した人は長時間の残業を武勇伝のように語ります。

でも長時間の残業で納めた成果はどの程度でしょう?長時間の残業が必要な時点でマネジメントが上手く行っていないのだから、成果に関しては怪しいです。

同じ成果を出すなら残業が少ない方がいいというのが私の考え方です。これは私自身が長年マネジメントをやってきて実感していることです。

残業が多ければ多いほどいい、残業が多いほど頑張っているというのは自己満足でしかありません。

先ほどから何度か書いているように、仕事は顧客に成果を納めることが大事です。顧客が求めているのは残業時間ではなく成果です。

だから残業しても成果を出せなければ自己満足でしかありません。

実は残業するより残業しない方が難しい

ここまで書いて来たように、残業を減らすためには効率化や無駄の削減、継続的な改善活動などが必要です。それをやらなければ、みなさんも幾度となく体験されているように、色々な突発的な作業が入ってきてどんどん残業時間が膨らみます。

私は長年マネジメントをしてきた経験から、残業するよりも残業しない方が難しいと感じています。

残業が発生しないように上手く仕事を進めることは難しいのです。想定外はいくらでも起こりますしミスもしますし、突発的な依頼もあります。それゆえ作業ボリュームは膨らむ一方なのです。

だからこそ残業を沢山している人が有能とは考えられません。残業を沢山する人の方が優れているのは、せいぜい理不尽や長時間労働に対する忍耐力くらいです。

マネジメントを学んで仕事のやり方が上手い人になろう

残業を減らしたければマネジメントを勉強するのがベスト

仕事は時間より成果であり、沢山残業している人よりも残業せずに成果を出す人の方が有能であることを解説しました。

しかし残業を減らすことは簡単ではありません。仕事のやり方を上手くなって残業を減らすためには、マネジメントの勉強をする必要があります。

マネジメントを学ぶことにより、仕事の段取りや優先順位付け、作業ボリュームの見積、効率、改善活動などが身に付きます。さらにはチームメイトや他部署、協力会社などとのコミュニケーションが上手くなります。

私は自分でマネジメントをやることで長年に渡り定時帰りを実現しています。しかし仕事の進め方や顧客との関係構築、効率化の方法などはトコトンやります。

そのためには当然勉強も必要ですが、言い換えると勉強さえすればできるようになります。やはり上手い仕事のやり方を学ぶことは大事なのです。

あなたが残業に疑問を抱いていたり、残業が嫌いだったりするのなら、マネジメントの勉強をしてみてください。仕事のやり方を上手くなって、ご自身の仕事を効率化することで、残業時間を減らしましょう。

さらにはあなたのチームの効率を上げて、チームの残業を減らせればなお良いです。そうすればあなたは大活躍となり、チームに欠かせない人材になるでしょう。

マネジメントを勉強できる雑誌・書籍の紹介

私がマネジメントの勉強のために読んでいるのはDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューです。定期購読しており、マネジメントの最新事情を学べます。

雑誌を定期購読することで、毎月様々なテーマについて学べます。えり好みすると知識が偏ってしまいますが、定期購読なら偏ることもありません。

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューを定期購読する

ただしDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューは論文ですので難易度が高いです。そこで私が今まで読んだマネジメント書の中でおススメのものを紹介する記事も書いています。

終わりに

今回は長年マネジメントをやってきた立場から、残業しない人は無能ではないことを解説しました。

世の中は残業すればするほど頑張っている、沢山残業している人ほど優秀、残業しない人は甘えていて怠け者であり無能という意識が根強いです。

しかし働き方改革によって残業のイメージが変わりましたし、その前にはブラック企業問題もありました。時とともに残業は悪いものへと変わっていくでしょう。

あなたが残業嫌い、残業したくないというのであれば、マネジメントを学びましょう。管理職やプロジェクトマネージャーになれずとも、仕事の上手いやり方を身に付けて、残業せずに成果を出せる有能な人になりましょう。

これで残業を減らして早く帰ることで、生活が充実したものに変わります。必ずや残業の少ない充実した生活を手に入れてください。すごくいいですよ!

ちなみに定時帰りのメリットも記事を書いていますので、読んでみてください。

シェアする