メンバー時代に不満だったことを意識してマネジメントする

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メンバー時代の不満を自分のマネジメントに活かそう

仕事をしていれば、ときには嫌な管理職やプロジェクトマネージャーに当たることもあります。やり方が嫌い、性格が嫌いなど不満はあるでしょう。

私も嫌な管理職やプロジェクトマネージャーに出会ったことがありました。そういう人は漏れなく反面教師にしています。

今回はメンバー時代に不満だったことを意識してマネジメントしましょうという話を書きます。

嫌なことや不満を感じることは仕事をしていれば多かれ少なかれ遭遇することです。またここに挙げること以外の嫌なことを体験している方もいらっしゃるでしょう。

マネジメントが上手く行かないという方や、マネジメントスキルを高めたいという方、将来はマネジメントをやりたいという方に参考にしていただければ幸いです。嫌な体験や嫌なマネージャーはどんどん反面教師にして、いいマネジメントを目指しましょう!

マイクロマネジメント

マイクロマネジメントは私が大嫌いなものの1つです。

新人の頃、マイクロマネジメントをよく見かけました。特に酷いプロジェクトでは、1時間おきに進捗を確認され、作業手順まで細かく指示され、厳密に守らないと説教されました。

そんな職場はいくらでもあるかもしれません。私が所属するIT業界でも、細かく作業手順を定義し、ミスした際のペナルティを厳しく設定し、細かく進捗管理をするプロジェクトがあるという話は何度も聞きました。

IT業界の場合、進捗がよくないプロジェクトは割とあります。QCDを守れるプロジェクトは3分の1程度と言われています。業界内では炎上プロジェクトやデスマーチと呼ばれます。こういうプロジェクトでなすすべがなくなったマネージャーたちがマイクロマネジメントに手を出すのでしょう。

マイクロマネジメントほど下らないものはありません。メンバーを信用していない証拠です。だからマイクロマネジメントはしない、信じて任せるマネジメントをしたいと私は考えています。

信じて任せるマネジメントについては、大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメントという本があります。サクッと読めますので、気になる方は読んでみてください。

大工の棟梁に学ぶプロジェクトマネジメント【電子書籍】[ 白鳥 美子 ]

他責

仕事の世界には自分のミスを棚に上げて他人のせいにする人がいます。また何かあればすぐに犯人捜しをする人もいますが、本人が犯人だったりします。

部署や会社を超えた責任のなすりつけ合いもよくある話です。部署が違うだけで悪者として叩くって何なのでしょう?

このように仕事の世界には他責が溢れています。私も責任を押し付けられたことが何度もあります。押し付けられれば当然腹が立ちます。人のせいにしないなんて当たり前のように思えて、仕事の世界では人のせいにするのが当たり前なのです。

ということは逆の視点で考えれば、責任を押し付けることや人のせいにすることをしなければいいのです。

仕事の世界で普通に行われている責任のなすりつけや犯人捜しをしないマネジメントをするだけで、かなり快適なチームを作れます。

長時間の説教

昔いた会社で、ちょっとしたミスで1時間くらい説教をする管理職がいました。説教でやる気は出ません。それにミス1つするたびに1時間も説教に使っていたら時間の無駄です。

この管理職は終電まで残業して休日出勤も常習的にしていました。つまり時間に対する意識が低いのです。

また説教を延々としてモチベーションが上がるわけではありません。説教を延々とする時点でストレスが多くて自分をコントロールできていないのです。こういうマネージャーになってはいけません。

人間はどうしてもつまらないミスを沢山します。だから一緒に改善策を考えるマネージャーの方が信頼感でもメンバーのモチベーションでも上でしょう。

ここでも自分がされたらどうかを考えましょう。長時間の説教を連日受けたいですか?受けたいならよほどの変態です。そんな無駄なことはしたくないはずです。

長時間の残業

世の中には残業すればするほど偉い、沢山残業している人は頑張っているというイメージがあります。

長時間残業の賛美は日本の文化のように見えますが、ハーバード・ビジネス・レビューにも最近掲載されたことから、日本に限らないことが解ります。

「多忙」を美徳とする企業文化から抜け出す方法

最近はホワイト職場では成長できないというニュースがありました。これについてネット上では、昔の人は沢山残業してスキルアップしたのに、今の若い人は残業せずにスキルアップしないといけないから大変だという投稿を見かけました。

世の中は残業を素晴らしいものとし、残業を狼人間を撃つ銀の弾丸のような万能な手段と考えています。しかし大きな間違いです。

ハッキリ言って残業は悪です。従業員の幸福や健康を蝕み、家族サービスや趣味、自己研鑽などの時間を奪います。

日本で一番大切にしたい会社というシリーズ本があります。この本は従業員エンゲージメントが高く業績も高い中小企業を取材した本です。そのような中小企業の平均残業時間は10時間だというのです。

日本でいちばん大切にしたい会社7 [ 坂本光司 ]

残業が少なくても従業員はモチベーションを持って顧客に貢献し、高い業績を上げるのです。

残業すればするほど偉いというのは、被害妄想的な考え方だと私は考えています。マネジメントに問題があって、不毛なことが多くて、残業せざるを得ないことはあらゆる職場にあるでしょう。

メンバーは酷い目に遭っているから、マネージャーは上手く行っていないから、残業する自分を正当化するのです。

それよりも知識を磨いて残業せずとも成果を出せるようにした方が健全です。

情報の差を活かしたマウンティング

マネージャーは持っている情報量が多いです。何せ仕事の責任者として会社の上層部や顧客から重要情報を渡されている立場だからです。

どんな仕事でも必要な情報を教えてもらわなければできません。たとえどんなに経験やスキルが豊富でも、担当する仕事に固有の情報を教えてもらわなければ何もできません。

それを利用して、情報を出さないことで高圧的な態度に出るマネージャーもいます。「俺に従わないと必要な情報を渡さないぞ」と言って仕事を妨害するわけですね。こんな人はどこの会社にもいそうですが、問題大ありです。

確かに情報量の差を活かせば優位に立てます。情報がなければ仕事ができないので、情報を出さなければ、どんなに経験やスキルがある人よりも、自分の方が仕事ができる人でいられます。

情報さえあればできる簡単な仕事で、「俺は簡単にできるけどお前はできないだろ?」とか「初歩的なことも知らないくせに」とマウンティングをするわけですね。

これは私自身も新人の頃にやられたことがありますし、後輩がやられているところを見たこともあります。残念ながらたまにこういうマネージャーに遭遇してしまうこともあります。

ハッキリ言いますが、保身や高圧的な態度なんて単なる自己満足であり、下らないです。それに上記の例のように情報を渡さないことで仕事ができない状態にして、優越感に浸るなんて愚の骨頂です。

マネージャーはチームとしての仕事を達成しなければいけません。自分の優越感のためにメンバーの仕事を妨害してしまっては、仕事を達成できなくなります。進捗に悪影響が出て残業も増えます。

それをメンバーに責任転嫁するマネージャーもいますが、根本解決ではありませんし、いつまで経っても結果を出せるマネージャーになれません。

保身や自己満足よりもチームとしての目的達成が大事です。そのためには情報の透明性が大事です。情報を出し忘れてメンバーが困っていないか気を付けましょう。

教育と言う名目の始末書

ミスをするたびに叱責する上司はどこの会社にもいるでしょう。最近は言い方こそ柔らかくなってきているかもしれませんが、2000年代くらいまでは怒号が飛ぶなど日常茶飯事だったでしょう。

私もミスをする度に怒鳴って始末書を書かせるマネージャーに遭遇したことがあります。そのマネージャーはいつ見ても終電くらいまで残業していました。結局自分に返ってきているのです。

叱責とか始末書は身に付けさせるために書かせるのでしょう。上記のマネージャーも身に付けさせるために叱責や始末書は仕方ないものだと言っていました。

しかしそんなやり方ではモチベーションが下がります。それを甘えと言うのでしょうけど、そんなやり方でミスが減るでしょうか?私にはそうは思えません。

モチベーションが下がりますし、ミスをしなくなるわけでもないでしょうし、続ければ離職してしまうでしょう。それを根性がないなどと言うのかもしれませんが、根性以前にマネージャーに人間性がないです。

そんな脅して言うことを聞かせるやり方では、最近ニュースに出たビッグモーターと大差ないでしょう。

ノルマと強権的人事、ビッグモーター社員がんじがらめ…工場長からヒラ社員に降格処分も

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脅してノルマを達成させようとしても、達成できません。強制的にやらせても上手くはいかないのです。

また叱責に関してもいいことではないです。一緒に協力して考えて行きましょう。大切なのは叱責や始末書、脅しではなく、協調と協働です。

「叱らないと、人は育たない」は本当か?驚く結論

顧客にヘコヘコする

お客様は神様、お客様のおっしゃることは絶対、お客様のおっしゃることは何でもするという会社があります。

日本の商習慣かと思いきや、ハーバード・ビジネス・レビューによると世界共通のようです。

2023年6月号|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 特集「お客様」から社員を守る

こんな会社いくらでもあるよと思うかもしれません。

私は実際にそんな会社に入ってしまったこともあります。下請け根性丸出しで、お客様のおっしゃることは何でもします、どんなに理不尽でも対応いたしますという考えなのです。それで長時間労働させられているわけですね。

顧客の下手に出て、媚びて仕事をもらうという姿勢が私は大嫌いです。そういう仕事をする人ほど、顧客の前ではヘコヘコし、どんな理不尽でも受け入れます。その割には愚痴が多く、自分は偉い、自分は頑張っているという自分賛美もよくします。頑張っているの意味が違います。

顧客の言うことはどんなに理不尽でも、何でも聞いて我慢して仕事するという会社は多いです。どんなに理不尽で非現実的でも、それでも達成することをこだわりにしているという会社に出会ったこともあります。

私はそうではなく、顧客とパートナーとして仕事したいと常々考えています。顧客と自社は対等、自社は頼りになる専門家集団であり、単なる外注ではないという立場で仕事することを心掛けています。

だから言われたことしかやらないのではなく、無理なことは代替案として現実的なことを提案します。顧客が見落としていることや気付いていることはこちらから指摘します。

下請け根性丸出しのただの御用聞きではなく、頼れるパートナーとして仕事することを大事にしたいものです。まずは顧客との関係性を見直し、しっかりと関係性を構築していきましょう。

上から目線な態度

「俺の方が立場が上でお前は下、能力でも俺が上でお前は下」といちいち言ってくるマネージャーがいました。これもまたどこの会社にもいそうですね。むしろ同僚同士の方が競争心から上下をつけたがるかもしれませんが。

このマネージャーは何でも言うことを聞いてあげないと、こちらを問題児扱いして評価を下げてきました。まともに相手にしないのが一番ですね。

気を付けなければいけないのですが、マネージャーに上がったら偉いのではありません。立場は上になるけど、だから偉いとか能力でも上ということはありません。そういう縦方向の物差ししかない人は視野が狭いのです。

ここ大事ですからね。気付かないと衆知を活かせずマウンティングやハラスメントをする上司になってしまいますから気を付けましょう。

マネージャーとメンバーの違いは役割です。決して能力の優劣ではありません。マネージャーが知らないことをメンバーが知っていることもあれば、マネージャーが見落としていることにメンバーが気付くこともあるのです。

上に立って命令したいとか、優越感に浸りたいと思う人はいるものですし、みなさんもそういう上司に腹を立てた経験が少なからずあるでしょう。

しかしマネージャーは上に立つのではなく、みんなの力を借りるのです。みんなの力を借りて自分1人ではできないことをやるのです。ここが重要です。

言い換えれば自分1人ではたかが知れているということでもありますし、みんなの力を借りる特権を与えられているともいえます。そしてみんなの力を借りれば、一人ではできない量の仕事をこなせます。

何より人の力を積極的に借りることが大事です。人の役に立てたら嬉しい人は多いので(よほど性格が悪い人は除きます)、お願いしますと言って積極的に周りを巻き込んで人の力を借りて、ありがとうございますとお礼を返して行きましょう。

高圧的な態度では人に協力してもらえませんので、決して高圧的な態度はとらずに行きましょう。カッコよくないとか威厳がない、せっかく出世したのになんて思ってはいけません。マネージャーは地位が高いのではなく、人の力を借りる特権が大きいのです。

人の協力を得ることについてはこちらにも書いています。参考にしてみてください。

終わりに

今回は私が新人の頃にされて嫌だったこと、そしてそこから自分なりにこうしたいと考えたことを書きました。

残念ながらマネジメントに関しては反面教師が沢山います。昭和や平成中期ぐらいまでと比べれば、最近はリーダーシップやマネジメントの方法論が一般に知られるようになった分だけマシになったかもしれません。

それでも人間がやることですので完璧はありません。仕事をしていれば腹立たしいことはほぼ必ずあるので、その都度自分ならどうしたいか考えていきましょう。それが自分なりのマネジメントスタイルになっていきます。

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