メンバーが使えないと嘆くより育成を投資と考えよう

私はかつて何度も、メンバーをマネジメントする立場の人からメンバーに対する不満を聞いてきました。メンバーが使えない、メンバーが無能、メンバーが自分の足を引っ張るなどです。
よく聞く不満ですし、言いたいことは解らなくもないです。しかし私は考え方が違います。このような考えは自己中です。メンバーの育成と活用もマネージャーの仕事です。
今回はメンバーの育成を投資と考えること、そして粘り強く育成することについて解説します。メンバーをしっかり育てれば、後で自分が助かるのです。
メンバーが使えない、メンバーが自分の足を引っ張っているという方はまず捉え方を変えてみるとよいでしょう。是非参考にしてみてください。
メンバーのパフォーマンスはありがちな不満
メンバーが自分と比べて仕事ができない、予想よりパフォーマンスが低いという不満をよく聞きます。メンバーが仕事ができないせいで自分が苦労しているという愚痴もよく聞きます。
その都度私はそういう人を自己中だなぁと感じます。
まず初めに、マネージャーにとって仕事とは自分の責任で全て片付けるものです。それを手伝ってくれる人がいるだけありがたいのです。
それにマネージャーになるくらいなら実務経験を十分に積んで、十分な戦力になっていると会社から認められています。
十分な戦力であるマネージャーと比べて、メンバークラスの人は若手や中堅も全然沢山います。ベテランばかりがマネージャーの元に配属されるわけではありません。
だからマネージャーと比べれば仕事ができないのは普通のことなのです。それをマネージャーが自分と比べてできないと不満を並べるのはおかしいでしょう。若手や中堅に経験豊富で会社から認められた人と同じパフォーマンスを上げろと言っても無理です。
最初はできなくて当然
どんな仕事でも慣れるまで時間がかかります。スキルは経験を積まないと上がりません。新人にして20年くらいのベテランと同等に仕事ができる人なんてありえません。
仮にもしそんな天才級なら、そもそも一般企業に入るでしょうか?起業するか世界的有名企業や有名大学に就職しているでしょう。
もしあなたがメンバーの出来が悪い、メンバーのパフォーマンスが低いと感じているなら、あなた自身がそのメンバーと同じくらいの経験年数だった頃を思い出してみましょう。
経験年数が同程度なら、案外大きな差はないものです。マネジメントをやる立場になるには、軽く10年以上、一般的には20年くらいは普通に経験を積んでいるでしょう。
その立場から見れば、経験5年なんて軽くかじったくらい、10年でもまだ一通り経験したくらいで深みは足りないでしょう。仕事なんてそんなものです。本当に突き詰めれば20~30年なんて軽くかかります。
マネジメントを任される頃には、それくらい沢山の経験を積んで即戦力として活躍できるくらいになっているはずです。そういう人の視点ではなく、相手の視点に合わせましょう。
メンバーの育成を投資と考えよう
人は勝手には育たない
メンバーは教えないと育ちません。そもそも人が勝手に育つことはありません。勝手に育つなら学校も研修も要りません。
会社は学校じゃないと思うかもしれませんが、会社も学校のようにしっかりと従業員の育成をしなければいけません。人が勝手に育つことはないからです。
もちろん一部だけとても意識が高いとか夢があるという理由で、自主的に勉強する人はいるでしょう。でもそういう人は例外です。それに独学より教わった方が上達が速いものです。
だからこそ人を育てることは会社としてとても重要なのです。
そしてOJTのような現場で教えること、現場で経験を積む場を提供することはマネージャーの役割です。
私は自分の案件に入ってもらった人には、好きなようにやらせてあげますし、私が知っていることは惜しみなく教えます。
人を育てるのは大変だが後で助かる
人を育てるには時間がかかります。しかし育てば戦力となり、マネージャーが助かります。
メンバーが戦力になるまでは、粘り強く教えつつも、思い切って任せることが必要です。失敗したら代わりに責任を取ることも必要です。育つまで時間はかかります。
何事も身に付けるためには反復練習が必要です。そして仕事に必要な作業は沢山あります。全てを一度に身に付けることは不可能ですので、1つずつしっかり教えて、1つずつ何度も繰り返して作業してもらう必要があります。
リターンが得られるまでの投資期間は長いですが、確実にやる価値があります。
メンバー育成の具体的なやり方
作業を開始する前にはしっかりと説明が必要です。前提条件や作業の目的、必要な知識や情報の説明は欠かせません。
しかし作業が始まったら余計な口出しはせず、本人に試行錯誤させながらやりましょう。ただし質問には答えてあげましょう。質問しづらい雰囲気を作らないよう、いつでも気軽に聞けるよう、心理的安全性を確保してあげましょう。
そして作業が完了したらしっかりとレビューを行い、間違っていた点や気を付ける点、上手くやるコツなどを教えてあげましょう。
学校の勉強でやってきたことと同じ流れです。まずこれからやることの解説があります。その次に問題演習があり、最後に答え合わせと解説です。
メンバーを使いこなすのはマネージャーの責任
適性に合ったことを任せよう
メンバーが使えないではなく、使い方を考えるのがマネージャーの仕事です。
人それぞれ適性は違います。アイディアがよく出る人、気が利く人、慎重な人など色々な人がいます。
人は使い方次第です。積極的な人にはやってみないと解らないことをやってもらえばいいですし、気が利く人には他の人のサポートをお願いし、慎重な人には品質チェックを丁寧にやってもらえばいいのです。
アイディアがよく出る人にはアイディアを出してもらい、ヒントにしましょう。
経験が浅い人には量産で協力してもらう
経験が浅い人には量で協力してもらいましょう。経験が浅いとそんなに生産性が高くないよと思うかもしれません。
しかし経験が豊富な人は量をこなす作業よりも、考えることや難易度の高い作業に専念した方がよいです。それに経験が浅い人はまずは反復練習が大事です。
だから経験が浅い人にはしっかりと作業手順を定型化した上で説明し、量産してもらいながら練習をしてもらいましょう。
もちろんこういう作業手順にした理由もノウハウとして説明できるといいです。どんな作業手順でも過去のミスから改善したポイントや、より効率を上げるために工夫したポイントがあるでしょう。
工夫ポイントは惜しまず教えていきましょう。
優劣で考えるのは間違い
社会も世の中のほとんどの人も、何にでも優劣を付けたがります。どちらが実力が上かとか、慎重な人より積極的な人の方が優秀などです。
世の中が競争社会であり、子どもの頃から競争を押し付けられているから、優劣を付けることにこだわってしまうのだと私は考えています。
しかし仕事には色々なノウハウやスキルがあり、どれが優れていてどれが劣っているではないのです。プログラミングは優れているけど資料作成は劣っているということはなく、どちらも必要なスキルなのです。
マネージャーの仕事は単一スキルではできない
人は単一の基準(多くは自分の得意分野とか特定のスキル)だけで人を測りがちです。しかし人は色々な特性を持っています。単一の基準では一つの面から決め付けているだけであり、視野が狭いです。人が持つ様々な特性を上手く活かしましょう。
単一スキルだけで解決できるほどマネージャーの仕事は簡単ではないです。色々な人の力を上手く借りてこそマネジメントです。
マネージャーの仕事は色々な人の協力で成り立ちます。自分は責任者だから偉いという人は多いですし、みなさんもそういう人に振り回された経験があるかもしれません。しかし偉いのではなく役割の違いです。
終わりに
今回はメンバーを育てて活かすことについて解説しました。
もう一度重要なことを言うと、メンバーの育成は投資であり、メンバーは勝手には育たちません。
「会社は学校じゃない!」ではなく、会社も学校のように人を育てることを意識しなければいけません。
そして現場で人を育てるいわゆるOJTはマネージャーの仕事です。マネージャーは人を育てることを常に意識しなければいけません。
粘り強く根気強く、メンバーを育成していきましょう。そして沢山協力してもらいましょう。これもGive&Takeです。