前例のない活動や新しい取り組みに使えるマネジメント手法はある

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新しい取り組みに使えるマネジメント手法

やったことがないこと、新しいことをやるのに不安はつきものです。えいやっ!でやっても上手く行かないですし、新しい取り組みを実施するプロジェクトは問題が沢山発生します。中断するケースもあるでしょう。

こういうやってみなければ解らないけれど、やってみると問題が沢山発生して、予想通りに行かないことをどう上手くやればいいのでしょうか?実はマネジメントではこういうことに対する方法がいくつか開発されています。

今回は前例がない、やったことがない未経験のこと、新しい取り組みなどに使えるマネジメント手法を解説します。

やってみなきゃ解らないなら小さく始めてみればいい

やってみなきゃ解らないことは多い

やったことがないこと、前例がないことは沢山あります。何でも知っている、何でもできると思っている人はいますが、それは自分の得意分野に限った話だったりします。変化が速い時代には未知へのチャレンジが必要になります。

企業が経験者採用やM&Aを進めるのも、やったことがないことをゼロから取り組むよりは、既に経験している人や会社に任せた方がいいからです。企業同士のコラボだって同様です。

それでも必ずしもこれからやりたいことに必要なノウハウを沢山持っているとは限りません。限られた知識や情報だけで乗り切ったり、関連する知識や情報を応用したりする必要があります。

やるかやらないかではなく小さくやってみる

やって失敗したらどうしよう?どれだけの資金、人員、予算が必要なのだろう?規模が大きくてリスキーだけど、やり方が解らないなど、前例がないことややったことがないことに対する悩みは沢山あると思います。

そういうときは小さく始めてみるという方法があります。デザインのプロトタイピング、リーンスタートアップ、リアルオプション戦略などがあります。

プロトタイピング – Wikipedia

リーンスタートアップ – Wikipedia

リアル・オプション|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA

リアルオプション戦略についてはこの書籍にも載っています。

世界標準の経営理論 [ 入山 章栄 ]

小さく始めてみよう
やってみなければ解らないことは小さく始めてみましょう。やってみれば解ることがあります。

巨人の肩の上に乗る

巨人の肩とは先人の知識

ニュートンは先人の知識を巨人にたとえ、先人の知識を学ぶことは巨人の肩の上に乗ることだと言いました。巨人の肩の上に乗れば、広く見渡せます。先人の知識とはそれほど広い視野を得られるものだとニュートンくらいの天才ですら言っています。我々一般人であればなおさらでしょう。

巨人の肩に乗る
先人の知識や知恵は巨人のようなものです。巨人の肩に登って広く見渡しましょう。

まずは情報や知識を集める

よってまずは先人が試行錯誤して獲得した知識や情報を仕入れましょう。ネットの情報は断片的なのが難点ですが、ないよりマシです。趣味などはYouTubeの動画が解りやすいです。仕事で必要な知識は動画よりブログの方が詳細な情報を得られていいですね。

書籍や論文が手に入るなら、手に入れましょう。あるいは経験者が社内や知り合いにいるなら、始めるに当たって必要なことや、やってみて気付いた注意点などを聞き出しましょう。

先人がやった苦労をあなたがする必要はありません。学校教育だってそうです。中学校や高校の内容でも、IQが150~180もある天才が生涯をかけて発見したことばかりなのです。しかし天才でなければ発見できないことも、1回解ってしまえば誰もが習得できる知識にできるのです。

自分の知識や自社の知識だけで考えず、広く文献を漁りましょう。そしてときにはノウハウがある人や会社と提携しましょう。

結果を測定する

なんとなくではなく目標を明確にする

なんとなくこれでいいでは正しい判断ができません。明確なロジックが必要ですし、そもそも何のためにやっているかも重要です。

上手く行かないときに起こりがちなことは手段の目的化です。これで迷走してしまうプロジェクトは快挙にいとまがありません。

目標を明確にして、そこに向かっているかどうかを大事にしましょう。目標はプロジェクトの軸と言い換えることもできます。

KPIを定める

目標が決まったら、評価基準を定めましょう。KPIとはKey Performance Indicatorの略で重要業績指標と呼びます。評価基準を決めたら目標値を設定しましょう。

例として、新製品だったらターゲット顧客層にテストマーケティングとか試飲・試食・試用してもらって、5段階評価してもらうなどです。何%以上の人から高評価を得る、平均何点以上に達するなどで成果を検討します。

製品やサービスの開発、市場開拓、技術開発では必ずしも売上や利益とは限りません。ノウハウを得ることが目的の場合がありますので、新たなノウハウを獲得できたか、今まで獲得できていなかった顧客層にリーチできたかなども基準になりえます。

目標と評価基準を決めよう
目標と評価基準を決めることで、なんとなくいいではなく、明確にこれがいいと判断できるようになります。

フィードバックサイクルを回す

評価基準が決まったら、フィードバックサイクルを回しましょう。

つまり仮説を立ててやってみる→結果を振り返って学ぶ→仮説を修正してやってみる→結果を振り返って学ぶというサイクルを繰り返します。

やってみて結果を考察して、振り返らなければ学びを得られません。リーンスタートアップでは素早く失敗して学ぶと言います。

振り返って学んでノウハウを溜めることで、よりよいやり方が見つかっていき、よりよい製品やサービス、プロセスなどの開発につながっていくということです。

フィードバックサイクルを1週間単位で回して製品開発を行った例として、獺祭があります。こちらに記事を書いています。

獺祭の経営手法と歴史的経緯が面白かった

フィードバックサイクルを回す
振り返って学び、それを活かしてやってみる、そしてまた振り返って学ぶというサイクルを回しましょう。

方向転換をしてかまわない

押してダメなら引いてみる

やり方は1つに固執しなくてよいです。上手く行かなければ別の方法を試しましょう。やり方は1つではないのです。よく言われる話ですが、登山には複数のルートがあり、ある道でダメなら別の道から登ればいいのです。

例えば若者に受けて映えるケーキを作りたいとしましょう。試作とターゲット層への試食会を繰り返した結果、プリンやパンケーキの方がよりコンセプトに合っていたとか好評だったというのであれば、プリンやパンケーキにするのもありです。当初の目標である若者受けと映えを食べ物で達成できているからです。

目標に立ち返って、目標に沿っているかどうか検討することは大事です。目標に沿っているのなら、進む方向は間違っていません。色々な道を探ってみましょう。

押してダメなら引いてみる
あるやり方がダメなら、別のやり方を考えましょう。選択肢を広く取ることは重要です。

そもそも予想通りになんていかない

やったことがないのに思い通りに行くなんて、ハッキリ言ってありえません。失敗は何度もするものです。だからその都度振り返りをして学ぶことが大事です。

手段とか形はもっといいものが見つかれば、そちらに変更してもかまわないのです。そもそもの目的とずれなければですが。

よって失敗を恐れず、むしろ失敗したら学ぶチャンスだと思って進みましょう。エジソンは10000回の失敗をしたのではなく、上手く行かない10000通りのやり方を発見したのだと言ったそうです。

それくらいの数をこなして振り返りをすることで、いいものが作れるだけのノウハウが溜まるのです。

終わりに

今後はやったことがないことや前例がないことをプロジェクトとしてやる機会が増えてくるでしょう。予測も計画も通じない、いつものことや前例があることとは違う仕事が増えてくるのです。失敗に対する寛容さやイメージも変えていく必要があります。失敗は悪いことではなく学ぶために必要なのだということです。

今回は私が初めてマネジメントをやるようになったときのこと、連携会計業務の刷新とシステム構築の責任者を務めたときのことなどに、マネジメントの論文で学んだことを付け加えて書いてみました。

行き詰ったときは参考にしてみてください。

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