マネージャーの大事な役割は決めることと言い出しっぺになること

最終更新日

決めることはマネージャーの大事な役割

仕事についての不満で一般的多そうなことを調べていたら、上司がハッキリしなくて不満というアンケート結果や記事をいくつか見つけました。決して少なくない不満のようです。

管理職やプロジェクトマネージャーの大事な役割は決めることです。管理職やプロジェクトマネージャーでないと立場的に決定権はないため、他に誰が決めるんだ?ということです。

もう一つ言うと、誰かが言ってくれるのを待っていてもいけません。決めることと言い出しっぺになることが管理職やプロジェクトマネージャーとして大事なことです。これらは他の人にはできないことだからです。

今回は新人管理職や新人プロジェクトマネージャー向けに、決めることと言い出しっぺになることについて解説します。マネジメントスキルを高めたい、あるいはスキルアップに悩んでいるマネージャーやマネジメントを目指したい方にとっても参考になればいいなと考えています。

また管理職やプロジェクトマネージャーだと長いので、マネージャーという言葉で進めていきます。

決めることでチームは前に進める

決めれば動けるようになる

前例がない、経験者がいない、難題であるなどの理由で二の足を踏むのが人間です。しかしそんなときこそマネージャーが方向性を決めなければいけません。そしてマネジメントにはそんなときでも使える方法が用意されています。

失敗したらどうしよう?という不安だってあると思います。不安になるのはやったことがないからどうなるか解らないためです。

とりあえず決めてやってみる、ダメならやり方を見直す。何でもやる前から解らないですし、最初から全てを見通すことは不可能です。我々は超能力者ではなく凡人です。

しかし決めさえすれば目標が定まるので、みんなが前に進めるようになります。逆に決めてくれないとメンバーは何をすればいいのか、どこに向かえばいいのかが解りません。決めることはマネージャーにとってとても大事な役割なのです。

決めることで進んだ体験談

実際に私には決めることで停滞したプロジェクトが動き出した経験があります。かつて大企業の50人規模のシステム開発プロジェクトに助っ人として入ったことがあるのですが、そのプロジェクトは問題が山積みで、しかも誰も新規開発をやったことがないというプロジェクトでした。

どう作っていいか解る人が誰もいないため、私が全体の構成や開発標準、サンプルなどを作って、全チームのリーダーを集めて説明しました。これによってやり方が解ったことで、プロジェクトは前に進めるようになりました。

このプロジェクトでは私は助っ人の1メンバーでしたが、マネジメント経験がある者として全体目線で提案をしたということです。現実には誰かがこういうことをしてくれるのを待っていても、誰もしてくれないでしょう。マネージャーが叩き台を作って意見を集める必要があります。

言い換えると、マネジメント経験があると自ら決めて提案ができるということでもあります。決めるという経験値が積み重なるからです。

決めるのはマネージャーにしかできない

決めないマネージャーは評判が悪い

当たり前ですが、決定権を持っているのはマネージャーです。メンバーに決めることはできません。だからハッキリしない上司は不満のある上司ということになります。

マネジメント能力のない上司の特徴とマネジメント能力のない上司の影響

こちらの記事ではハッキリと意思決定しない上司への対処法が書かれています。

上司に感じるストレス第1位「指示が曖昧」への、上司/部下それぞれの対処法は?

幸いにも私はハッキリしない上司に当たったことが少ないですし、そもそも自分でマネジメントする経験の方が長いので、上司があまり関係ないのです。しかし世間一般で見ると、ハッキリしない上司は少なからずいるから不満が上がってくるのでしょう。

マネージャーでもそうでなくても決めることが大事

あなたがマネージャーであれば、指示は明確に、やるべきことや方向性はしっかりと決めることを大事にしてください。

逆にあなたがマネージャーでもそうでなくても、上司がハッキリしない人の場合や、あるいはあなたがマネージャーじゃない立場で仕事をしていて、マネージャーがハッキリしない人である場合は、あなたが具体的に詰めて決めてあげてもいいでしょう。

これも練習になりますし、先ほど私がメンバーの立場ながら決めて提案し、プロジェクトを動かした話をしました。

決めるのが苦手でも大丈夫

成功・失敗は考えず経験値を積もう

マネジメントを始めたばかりの頃は、決めることがプレッシャーになります。決定権を持つということは責任を持つということだからです。プロジェクトマネージャーの場合、自分が決めたことが会社としての決定事項、社外に対する会社の決定事項となってしまいます。

それゆえ決めることはプレッシャーとなり、これでいいのだろうかという迷いが生じます。私も最初はそうでした。

しかし最初から全てを見通すことは不可能です。やってみて上手くいかないことはいくらでもあります。判断を間違うことも多々あります。後で振り返って、こう判断したのは失敗だった、これを意識した方がよかったなど、しっかりと学びを得ることが大事です。

どの経営者か忘れましたが、経営者が意思決定は経験だと言っている記事を読んだことがあります。これは本当だと私は実感しています。最初は不安で決められなかったけど、経験を積んで引き出しが増えてくると、このケースはこうでいいなと判断できたり、そもそもこういう考えに従って考えるべきなどの価値基準ができたりします。

このブログのマネジメントの記事も、私が経験を積んで得た価値基準がベースとなっています。残業をせずにQCDを守って顧客の課題を達成するという価値基準です。

決めるという練習を繰り返すことで決める力が高まる

何事も慣れというのを自転車で例える本がよくあります。誰だって最初は転んでばかりで真っすぐ走れません。しかし何度も練習すると少しずつ真っすぐ走れるようになり、いつしか真っすぐ走れることが普通になります。

マネジメントも自転車と一緒です。最初は何を基準に決めていいのか解りません。しかし慣れてくると決められるようになってきます。よって決めるという経験値を積むことが大事です。失敗してもいいのです。

決める練習はプライベートでもできる

これまた昔ハーバード・ビジネス・レビューで当時楽天の役員だった方が言ってたことを書きます。プライベートでサークルのリーダーをやったり、友達の集まりで自分がイベントを主催したりすると、決めるという経験値を積め、色々な人への対応も学べるので、マネジメントの勉強になると言うのです。

プライベートで試してみるのなら、仕事と違って会社や上司や顧客に怒られたり、メンバーに反発されたりする心配はありません。大事になることも少ないでしょう。マネジメントの練習をする方法はしっかりと存在するのです。

言い出しっぺになろう

人間は周囲の様子を見て、誰かが言い出すあるいはやり出すのを待つものです。学校で委員長などに立候補する人はいないかと先生が訪ねたときなどいい例ではないでしょうか?大人になっても、面倒な役割を自ら進んで引き受ける人は少ないです。

だからこそ言い出しっぺになって前に進めるということに価値があると私は考えています。なんでもいいからとりあえず言ってみれば、多くの人は便乗して言いやすくなるのです。

〇〇に取り組もう、△△という方針にしよう、目標はXXだなどとりあえず言うだけ言ってみて、実現可能そうなら他の人がいいんじゃない?と言ってくれるでしょうし、無謀あるいは勘違いなどなら、こうした方がいいんじゃない?と言ってくれるでしょう。

こうやって言い出しっぺになれば決めるべきことが徐々に決まっていく可能性があります。動かないではなく動かすのがマネージャーの仕事です。そのためには決めることと言い出すことが大事です。

それをしないとハッキリしないマネージャーです。仕事は動いて行きませんし終わりもしません。

終わりに

今回は決めることと言い出すことの大切さ、そして決める練習について、私の体験談も含めて解説しました。

キッチリと決められるマネージャーはできるマネージャーという印象を与えられます。これにスピードが加われば強力です。練習も積みつつ決める力を高めて、しっかり仕事ができるマネージャーを目指しましょう。

シェアする