伝わらないと悩む人のための認識の齟齬を減らすコミュニケーションのコツ7つ

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伝わるコミュニケーションのコツ

コミュニケーションはいつでも悩ましいもので、仕事においてはコミュニケーションの問題がいたるところに潜んでいます。

相手に伝わらない、相手の言っていることが解らないということはよくあるでしょう。特に多いのが認識の齟齬です。間違って伝わった、勘違いしたという経験が全くないという人はまずいないでしょう。皆さんも少なからず苦労してるかと思います。

今回は私が使っているコミュニケーションの方法を解説します。コミュニケーションの方法は多くのビジネスパーソンにとって役立つと考えています。本当はマネジメントのカテゴリーですが、今回はマネージャー以外にも役立つ内容です。

マネージャーだけでなく、伝わらない、スキルアップしたい、コミュ力を付けたいという方にも参考になるように書きます。

もちろんマネジメントこそコミュニケーションスキルがとても重要です。マネジメントにおいては色々な関係者との調整が発生し、他人に作業をしてもらうことが多いため、コミュニケーションスキルはとても重要なものとなります。

相手の言葉を使う

相手に合わせた言葉を使う

自分が使い慣れた言葉よりも、相手が使い慣れた言葉に合わせるということを私はやります。相手の会社で一般的に使っている言葉と、自分の会社で一般的に使っている言葉が、意味は同じだけど表現が違うことはあります。その場合、相手の言葉に合わせた方が、相手にとっては理解が速いのです。

「俺は俺のやり方を貫くぞ!」という人もいるかもしれません。それはそれでありかもしれませんが、気が利く人は相手に合わせられるものです。こういうところで顧客からの評価を稼ぐことも可能なのです。

同じ意味でも会社によって言葉が違う

同じ業界であっても、会社によって言葉が違うケースがあります。また同じグループ会社でも会社によって言葉が違うケースがあります。

IT業界では工程の呼び方が複数存在します。設計は2段階あり、会社によって基本設計と詳細設計、外部設計と内部設計、概要設計と詳細設計だったりします。更にはSS(System Structure)とPS(Program Structure)などアルファベットを使った略称も存在します。

おそらくITだけでなくエンジニアリングの職種では設計が基本構造や概要の設計と、作りにおける詳細な設計の2段階があるものだと私は認識しています。しかしまぁ会社毎に呼び方がまるで違うわけですね。

IT業界ではコーディングの工程の呼び方も会社によって違います。開発、実装、製造、コーディング、プログラミングなどなど複数あります。

あくまでも私の体験からですが、技術志向の会社は実装、上流工程重視で下流工程は外注する会社は製造と呼ぶことが多いと感じています。業界として一般的には開発が多いかなという印象です。認識の齟齬なく伝えるならば、コーディングと言うのが確実です。

同じグループ会社でも会社によって言葉が違う

以前、連結会計をやっていたときの話です。連結会計業務の刷新とシステム開発をやったため、グループ各社の経理の人と話す必要がありました。

その時感じたことは、会社によってグループ各社の呼び方が違うということです。基本的にはフルネームで言えば伝わりますが、略称が会社によって違うのです。日本語で略した名前の場合もあれば、アルファベット三文字などコンサルやシステム会社が好きな略称の場合もあるのです。

こういうときは相手と違う略称だと通じないので、相手に合わせます。基本的に相手の言葉を使うのが一番通じます。そのためには日頃の会話から、相手の社内の事情や雰囲気を感じ取る必要もあります。

具体的なイメージを見せる

絵や図で伝えると速い

人間は文章や言葉よりも絵や音の方が理解が速いものです。話して伝わらないときや、文章で伝わらないときは、絵や図などを使いましょう。これが手っ取り早いです。

絵が下手とか気にしてはいけません。図形を並べるくらいなら絵の素人でもなんとかなります。落書きレベルでも、伝えるべきことを伝えることが大事です。

綺麗な絵を見せるのはイラストレーターの仕事であって、一般的なビジネスパーソンの仕事ではありません。しかしコミュニケーションはあらゆるビジネスパーソンに必要です。

大工の棟梁はスケッチの練習をよくする

大工の棟梁は実はスケッチの練習をよくするのだそうです。仕事中であっても休憩時間などにスケッチの練習をするそうです。理由は認識違い、認識の齟齬をなくすためです。

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例えばドアを反対向きに付けてしまったら、取り外して付け直すのは面倒でしょう。建物を建てるに当たり、指示が正しく伝わっていないせいで作業内容を間違えてしまったら、大きなロスになります。

それゆえ大工の棟梁はスケッチの練習に励み、正しく伝えるスキルを磨いているそうです。

ブレイクダウンによる絞り込みを行う

友達と一緒に出掛けるとき、〇〇というお店に行こうと言うかもしれません。これで通じるならいいのですが、チェーン店だったり、同名の別のお店があったりしたら、どこの街なのか解りませんよね。

特にチェーン店で手強いのが、駅東口と駅西口がある場合や、西口1と西口2がある場合です。例えば東横インの宇都宮店は宇都宮駅前1と宇都宮駅前2があり、その上に東武宇都宮駅西口店まであります。

ピンポイントで言いたいことを言う前に、まずはどういうカテゴリーの話題なのかという大分類から少しずつブレイクダウンしていくと、間違って伝わる可能性が減ります。

先ほどのお店の例で言うと、新宿の東口にある〇〇というお店とか、〇〇の新宿東口店など、新宿という地域と新宿のどのあたりにあるのかを伝えられるといいです。これは口頭の場合であり、メールやチャットだったら住所と地図のURLを送ってしまった方がいいでしょう。

仕事だったら、△△案件のAAAという作業についてですがというように、案件や作業項目など固有名詞を順に話してから会話に入った方が、何の話なのかが解りやすくなります。

コミュニケーションは下手をするとアンジャッシュのコントみたいに、全然違う話をしているのに伝わったかのように話が進んでしまうことがあります。そして後で話が違うとなるのです。

だからテーマやカテゴリーを絞って、段々と詳細に絞っていった方が認識の齟齬が減ります。どこへ行くかについて、都道府県→市区町村→建物という順に話していくのと同じです。

できるだけ数字にする(特に日付)

来週の月曜日に打ち合わせをお願いしますなど、週や月と曜日を組み合わせることがあります。これで大体は大丈夫ですが、たまに1日とか1週間間違えるケースがあります。予定は確実に月日を言った方がいいでしょう。

数字にできるもの、例えば金額とか個数も、高い、安い、多めでとか少な目でという基準が人によって違う可能性もあります。仕事や趣味によっても違います。

例えば予備の部品がトラブル時に10個必要になりそうな場合、多めに15個くらい持っておいた方がいいと判断したとします。そんなとき「予備の部品を多めに持っておいてね」というと、Aさんは10個だったり、Bさんは30個だったりするかもしれません。

人によって尺度や感覚のずれが多少はあるものです。だからこそ具体的な数字にした方が、認識の齟齬は少なくなります。

主語・代名詞に気を付ける

日本語では主語がないケースが割とあります。文章でもたまにありますが、口語では主語がないケースがかなり多いです。

主語がない場合、話している本人がやるのか(一人称)、話を聞いている人がやるのか(二人称)、会話をしている二人以外の人がやるのか(三人称)が解らないことがあり、これで間違って伝わってしまうことがあります。

作業をやってもらうつもりが、伝わってなくてやってもらえなかったというように。

だから主語と述語は明確にしましょう。

そして代名詞も怪しいことがあります。これ、あれ、それなどは周辺にあるものの話なら指さして示せるので大丈夫でしょう。しかし周辺になくて会話上に出てくるだけのもの(別の場所にあるものや概念、知識、用語など)に対して代名詞を使うと、何を指しているのか伝わらないことがあります。

代名詞を使って正確に伝わるかな?と疑問に思ったら、面倒で長ったらしくてもあえて代名詞を使わないという選択肢を私は取っています。資料やメールで代名詞が何を指しているのか謎という例をいくつも見ましたから。

複文・長文を避ける

文章を書いていると、ついつい接続詞と読点(「、」のことです)を使って文章をつないでしまいます。しかしそうすると長ったらしくなってしまうので、あえて区切った方がいいです。長ったらしい文章は読み手も疲れますし、意味も伝わりにくくなります。

書き手にとっては楽ですが、コミュニケーションは自分を重視するのではなく、相手を重視するものです。だから相手にとって勘違いしにくく、解りやすい表現を選びましょう。そのために複文や長文を避け、できるだけ短い文章にしましょう。

私はついつい複文や長文を使ってしまいがちです。だから意識して区切るようにしています。そして記事の1段落も4行以内に収まるようにしています。メールやチャットでは適度な位置で改行しつつ2~3行を心掛けています。

察してほしいはNG

コミュニケーションにおいてありがちかつトラブルになるのが察してほしいというものです。

察してほしいはハッキリ言って無理です。これは伝わりません。でも人間は察してほしいと相手に腹を手てしまうことが多いのです。なんて残念なことでしょう。

さらに困ったことに、日本は単一民族で同質性・同調圧力、阿吽の呼吸の社会です。察するとか空気を読む、忖度することができるのが大人であり一人前の社会人とされます。しかし私はこれも止めた方がいいと考えています。ただ自分に合わせて欲しいだけのわがままだからです。

認識の齟齬なくコミュニケーションを取るには、察してほしいではなく、こちらから具体的に言う必要があります。ただし言い方には気を付けましょう。ダイレクトに言うと相手の機嫌を損ねてケンカになります。

終わりに

今回は私が気を付けているコミュニケーション方法について書きました。コミュニケーションについては書籍も沢山出ているので、読んで実践してみるのがいいと思います。実践して体で覚えないと身に付きませんので気を付けましょう。

そしてコミュニケーションスキルが高まると、仕事は色々なことがスムーズに進むようになります。専門性とは別の要素で自分の評価を加点できるようになります。

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