簿記で必須!仕訳の書き方を学ぼう|練習問題の解答と解説

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仕訳の練習問題の解答

前回は仕訳の具体例を解説し、練習問題を出しました。前回の記事はこちらです。

今回は練習問題の解説をします。

仕訳の書き方は初心者にとって頭がこんがらがりやすいです。よく解らなくなった場合は、基礎編であるこちらの記事も参考にしてください。

勘定科目の種類とか、借方・貸方どちらに書くかについては、下記の記事を参考にしてください。

練習問題1の解答と解説

問題を再掲します。

  1. 税抜き5,000円の商品を仕入れ、消費税と一緒に掛け(ツケ払い)にした。
  2. 上記の仕入れで掛けになっていた代金を支払った。
  3. 5,000円分の商品を税抜き10,000円で販売し、消費税と一緒に掛け(ツケ払い)にした。
  4. 3の販売で掛けになっていた代金が振り込まれた。
  5. 3の取引で販売した商品を出荷した。

商品の仕入れの仕訳

まずは税抜き5,000円の商品を仕入れ、消費税と一緒に掛け(ツケ払い)にしたときの仕訳です。

商品5,000買掛金5,500
仮払消費税500
税抜き5,000円の商品を仕入れ、消費税と一緒に掛け(ツケ払い)にしたときの仕訳

消費税も一緒に払います。商品を仕入れたことで商品が増えます。一方で仕入れに対する掛け払いですので、買掛金を使います。支払額は税込み額になりますので、買掛金の金額は税込み額とします。

仮払消費税は消費税を払ったときに計上します。消費税は義務じゃないか?と思うかもしれません。義務を先に済ませているので、後で楽できます。だから資産扱いです。

ややこしいかもしれませんが、会計の世界では、これからやる義務は負債、義務を先に済ませて楽できると資産なのです。

支払いの仕訳

続いて支払いです。ここでは自社の銀行口座から振り込む例を記載しています。

買掛金5,500現金預金5,500
上記の仕入れで掛けになっていた代金を支払った仕訳

掛けになっていた分を消し、お金が減ります。買掛金現金預金それぞれが減ります。買掛金は負債ですので貸方科目です。現金預金は資産ですので借方科目です。それぞれ借方・貸方を逆に書くことで減らします。

ドンドン行きましょう。

商品の販売の仕訳

続いて5,000円分の商品を税抜き10,000円で販売し、消費税と一緒に掛け(ツケ払い)にしたときの仕訳です。

売掛金11,000売上高10,000
仮受消費税1,000
5,000円分の商品を税抜き10,000円で販売し、消費税と一緒に掛け(ツケ払い)にした仕訳

税抜き10,000円、税込み11,000円です。消費税は政府に納めるので、税抜き額が会社の収入額になります。よって売上高は10,000円です。

顧客から消費税を受け取って代わりに納めるので、仮受消費税を計上します。これから納める義務があるので、仮受消費税は負債です。よって貸方科目です。

顧客から受け取る金額は消費税込みでなければいけません。よって売掛金は税込み額である11,000円になります。売掛金は販売代金のツケですので、お金を後で請求する権利でもあります。権利なので会計上は資産に分類します。

販売代金が入金された仕訳

商品の販売の次は入金です。顧客に代金を請求して、振り込んでもらいます。もちろん現金払いでもいいのですが、一般的には振り込みが多いでしょう。入金が確認できたら、次の仕訳を書きます。

現金預金11,000売掛金11,000
練習問題1-3の販売で掛けになっていた代金が振り込まれたときの仕訳

販売時にツケになっていた売掛金を減らします。そして現金預金を増やします。

売掛金は先ほども書きました通り、資産ですので借方科目です。よって貸方に書けば金額を減らせます。

現金預金はお金そのものですので資産です。よって借方科目なので、借方に書けば金額を増やせます。

商品を出荷した仕訳

販売代金が支払われたら出荷です。商品を出荷したら売上原価を計上することに気を付けましょう。

売上原価5,000商品5,000
練習問題1-3の取引で販売した商品を出荷した仕訳

商品を出荷すると、当然ですが商品は減ります。商品は換金できるため資産です。よって借方科目なので、貸方に書けば金額を減らせます。

商品を出荷したら、出荷した金額だけ売上原価を計上します。こうして販売に対する仕入れのコストが確定していきます。

ちなみにこの売上原価ですが、記載方法がいくつかあります。あなたの会社では、ここで解説しているのと違う方法で仕訳を書いている可能性もあります。

詳細は自社の業務マニュアル、お使いの会計ソフトの設定やマニュアルを確認してください。

練習問題2の解答と解説

まずは問題を再掲します。

  1. 従業員に500,000円の給与を払った。
  2. 家賃100,000円を払った。
  3. 税抜き1,000,000円の機械を買った。
  4. 銀行から1,000,000円借りた。返済期間は1年。
  5. 株主から1,000,000円出資してもらった。全額資本金とする。

給与の支払いの仕訳

従業員に500,000円の給与を支払った仕訳は下記のようになります。

給与500,000現金預金500,000
従業員に500,000円の給与を払った仕訳

給与とか給料など、見るからにそれらしい勘定科目が存在します。ちなみに社員の給料は給与などの勘定科目でよいですが、アルバイトは雑給という勘定科目を使うこともあります。役員の給料は役員報酬という勘定科目があります。

余談ですが、経理担当者なら自社の役員の給料も平均だけなら計算できてしまいます。役員報酬の合計額を役員の人数で割れば平均は解ります。社長とそれ以外で大きな差はあるでしょうけど。

給料の支払いは人件費ですので、給与は費用です。費用は借方科目というルールです。

給料を支払うと会社のお金は減りますので、現金預金を減らします。現金預金は何度か出てきていますが、資産ですので借方科目です。よって貸方に書けば金額を減らせます。

家賃の支払いの仕訳

家賃100,000円を払ったときの仕訳は下記のようになります。

家賃100,000現金預金100,000
家賃100,000円を払った仕訳

家賃は出費ですので費用に分類できます。費用は借方科目です。よって家賃を借方に書けば、家賃による出費が増えたことを表せます。

家賃を払えばお金が減りますので、現金預金を貸方に書きます。現金預金は何度も出ていますが、お金そのものなので資産です。よって貸方に書けば金額を減らせます。

機械購入時の仕訳

次は税抜き1,000,000円の機械を買ったときの仕訳です。

機械1,000,000現金預金1,100,000
仮払消費税100,000
税抜き1,000,000円の機械を買った仕訳

機械のようにお金を生み出すための設備は資産です。もう少し細かく分類すると固定資産といいます。資産なので借方に書きます。

機械の購入も、大抵は販売会社かメーカーから買うでしょうから、消費税を払います。解答では消費税率を10%としています。

購入時は消費税を払っているので、仮払消費税という勘定科目を計上します。義務を先に果たしているので、後で支払わなくて済むという意味で、資産になります。

買い物をすれば、当然お金は減りますので、現金預金を貸方に書いて減らします。

融資(借入)の仕訳

銀行から1,000,000円借りた場合の仕訳は下記です。返済期間は1年とします。

現金預金1,000,000短期借入金1,000,000
返済期間1年で銀行から1,000,000円借りた仕訳

銀行からお金を借りることを、融資を受けるとか借入といいます。勘定科目は短期借入金または長期借入金を使います。

会計において短期/長期は1年以内かどうかで判定します。この問題では返済期間を1年としていますので、短期になります。よって短期借入金を使います。

1年以内かどうかは短期/長期や流動/固定の分類に使うため、覚えておくといい基準です。

出資の仕訳

株主から1,000,000円出資してもらい、全額資本金とするときの仕訳は下記になります。

現金預金1,000,000資本金1,000,000
株主から1,000,000円出資してもらい、全額資本金とする仕訳

株式会社は投資家から株という形でお金を出してもらうことができます。そしてこのお金は返済する必要がありません。代わりにスポンサーである株主に所有権を渡します。

資本金など株主及び利益関連の科目は純資産という分類になります。純資産は貸方科目です。

ちなみにこれまた余談なのですが、株主に出資してもらったお金のうち、最低半分は資本金にするルールになっています。これは法律(会社法)で定められているので守らなければいけません。

株主に出資してもらったお金のうち、資本金にしなかった分は資本準備金にします。

またまた余談になってしまいますが、資本金が大きいとデメリットもあります。見栄えはいいのですが、法的手続きに関するコストが上がります。また資本金が1億円以上になると、税法で中小企業ではない扱いになり、税率が上がったり、受けられる優遇措置が減ったりもします。

それ以外にも下請法に影響します。下請法では資本金の額で下請けかどうかを判定し、下請けを保護するルールになっています。

下請法の概要 | 公正取引委員会

追加の練習問題1

練習問題を2つ出して、解答と解説を掲載しました。しかしボリューム的にもうちょっと欲しいという方がいらっしゃるかもしれません。それにより広く仕訳の書き方を知っている方がいいでしょう。

そういう理由で追加の練習問題を出します。

問題

  1. 100万円の出資を受けて、半分を資本金、残りの半分を資本準備金にした。
  2. 銀行から200万円の融資を受けた。返済期間は5年。
  3. 社債で300万円の資金を調達した。
  4. 店舗用不動産を400万円で購入した。土地の評価額は250万円、建物の評価額は150万円だった。
  5. 4で購入した不動産を500万円で売却した。

資金調達と不動産の購入・売却を行ったときの仕訳の書き方を問う練習問題です。

もうちょっとスクロールしたところに解答と解説を掲載します。

それでは解答と解説に移ります。

出資を受けて資本金と資本準備金に分けた場合の仕訳

出資を受けて資本金と資本準備金に分けた場合の仕訳は下記になります。

現金預金1,000,000資本金500,000
資本準備金500,000
100万円の出資を受けて、半分を資本金、残りの半分を資本準備金にした仕訳

株主から出資を受けたお金は、半分まで資本準備金にできます。資本金が大きいと法的な手続きの費用や法人税が大きくなったり、下請法が適用されたりします。会社が小さいうちは身の丈に合った額の資本金にしておいた方がいいでしょう。

銀行から融資を受けた場合の仕訳

銀行から返済期間が5年の融資を受けた場合の仕訳は下記になります。

現金預金2,000,000長期借入金2,000,000
銀行から200万円の融資を受けた仕訳

先ほどは返済期間が1年の融資の仕訳を短期借入金で書きましたが、今回は長期借入金です。短期か長期かは1年で分けます。1年以内なら短期、1年超なら長期とします。

ちなみに短期借入金は流動負債、長期借入金は固定負債です。流動負債は1年以内、固定負債は1年超の返済期間の負債とされています。

上場企業の決算書を読んでいると、1年以内返済長期借入金という勘定科目も出てきます。1年が短期/長期の境界線なのです。

よってここでは返済期間が5年のため、1年を超えているので、長期借入金としています。

社債で300万円の資金を調達した場合の仕訳

社債で300万円の資金を調達した場合の仕訳は下記になります。

現金預金3,000,000社債3,000,000
社債で300万円の資金を調達した仕訳

社債は長期借入金のように固定負債です。利子を付けて返さなければいけないという点で、社債と融資は似ています。違いは相手が銀行か企業かです。

店舗用不動産を400万円で購入した場合の仕訳

店舗用不動産を400万円で購入した場合の仕訳は下記になります。

土地2,500,000現金預金4,000,000
建物1,500,000
店舗用不動産を400万円で購入した仕訳

不動産は固定資産です。不動産は一般的には土地と建物を別々に計上します。購入時に払う金額は土地と建物をまとめた不動産としての金額ですが、土地と建物をまとめて不動産と一括りにして計上している決算書を私は見たことがありません。

不動産価格は一般的には土地と建物それぞれに付きます。ただしマンションのような集合住宅ですと、誰の土地と言えないため、区分所有権と言って、建物の一部の所有権が発生します。

よってマンションの一室を買った場合は、建物の価格のみ所有権を持っていることになりますので、建物の価格のみ計上します。マンションを1棟丸々購入した場合は、土地も含まれるかどうか確認して、含まれていれば土地だけの価格も調べて計上してください。

購入した不動産を500万円で売却した場合の仕訳

4の練習問題で購入した不動産を500万円で売却した場合の仕訳は下記です。この不動産は土地が250万円、建物が150万円でしたので、それぞれ分けて仕訳を書いています。

現金預金5,000,000土地2,500,000
建物1,500,000
不動産売却益1,000,000
購入した不動産を500万円で売却した仕訳

今回は400万円の不動産を500万円で売却しましたので、100万円の儲けがあります。不動産を売却時は、得したら不動産売却益、損したら不動産売却損を計上します。どちらもP/L上は特別損益になります。

不動産売却益は収益です。よって貸方に書くルールです。不動産売却益100万円を貸方に書くことで、貸借ともに500万円になって、帳尻が合います。

ちなみに不動産以外の固定資産も売却益と売却損があります。固定資産売却益、固定資産売却損などという勘定科目です。これらもP/Lの特別損益に計上します。

追加の練習問題2

続いて2つ目の練習問題に移ります。今度は今風にクレジットカードやPay系アプリが登場します。

問題

  1. 自社は1,000円の商品を販売し、顧客は現金で代金を払った。
  2. 自社は1,500円の商品を販売し、顧客はクレジットカードで代金を支払った。
  3. 自社は2,000円の商品を販売し、顧客はPay系アプリで代金を支払った。
  4. 2の代金が銀行口座に振り込まれた。手数料は50円だった。

今時はクレジットカードやPay系アプリでの支払いが増えてきました。よってこれらの支払いによる仕訳の書き方も知っておくといいかもしれません。

1,000円の商品を販売し、現金払いの場合の仕訳

自社は1,000円の商品を販売し、顧客は現金で代金を払った場合の仕訳は下記です。

現金預金1,000商品1,000
1,000円の商品を販売し、現金払いの仕訳

現金払いですので、単純に現金預金が増えればOKです。

1,500円の商品を販売し、クレジットカード払いの場合の仕訳

自社は1,500円の商品を販売し、顧客はクレジットカードで代金を支払った場合の仕訳は下記です。

売掛金1,500商品1,500
1,500円の商品を販売し、クレジットカード払いの仕訳

クレジットカード払いのケースは少なくないでしょう。私もよくやりますし、ECサイトでの販売ならクレジットカードがよく使われるでしょう。

クレジットカード払いの場合、決済処理は現金同様に即行われますが、企業側への支払いと顧客への請求は1か月ほど遅れます。クレジットカードをよく使っている方は、月の下旬当たりで1か月分の使用額が確定し(経理用語では締め)、翌月請求になるというのを見ているでしょう。

これは企業間取引におけるツケ払いと同じです。よってクレジットカード払いの場合は売掛金を計上します。入金したら売掛金を落として現金預金を増やす仕訳を作成します。

逆に顧客側がクレジットカード払いをした場合、買掛金となります。事業と直接関係ない物品の購入であれば、未払金になります。

2,000円の商品を販売し、Pay系アプリ払いの場合の仕訳

自社は2,000円の商品を販売し、顧客はPay系アプリで代金を支払った場合の仕訳は下記です。

売掛金2,000商品2,000
2,000円の商品を販売し、Pay系アプリ払いの仕訳

Pay系アプリもクレジットカード払い同様に売掛金となります。顧客側は即支払われますが、企業側はまとめて一括のようです(私が店舗運営をしたことがないので…)。

参考までに私が使っているau Payのサイトを載せておきます。このサイトによると、Pay系アプリなどQRコード決済の場合、企業側には月単位でまとめて払われるようです。企業の場合は大量に販売が発生するため、都度支払いよりも一括支払いの方がローコストでしょう。

【加盟店向け】キャッシュレス決済の売上はどう仕訳する?会計処理の方法を解説

クレジットカード払いの代金が銀行口座に振り込まれた場合の仕訳

クレジットカード払いの代金が銀行口座に振り込まれ、手数料が50円だった場合の仕訳は下記です。

現金預金1,450売掛金1,500
支払手数料50
クレジットカード払いの代金が銀行口座に振り込まれた仕訳

クレジットカード払いの場合、後でクレジットカード手数料が引かれて入金されます。お店としては入金まで時間がかかる上に手数料もかかります。そういう理由で現金払い限定にする代わりに安くしたり、現金払いはポイント優遇したりするお店もあります。会計を学ぶとこういう事情も解るのです。

終わりに

仕訳の書き方が少しは解りましたでしょうか?仕訳は読書のように沢山読んで、数学の練習問題みたいに沢山書くことが必要です。

言い換えれば、頭の良し悪しや向き不向きというよりも、数をこなしたかどうかとも言えます。

めげずに頑張ってみてください。

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