回収期間法の練習問題を作ってExcelで計算してみる

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回収期間法

投資をしたらどれくらいの期間で元を取れるかは悩ましい問題です。でも大きなお金を使うなら元を取りたいですよね。これは会社でも個人でも同じことです。

そんなとき会計の知識を使えば、投資対効果の計算ができます。どれくらいの期間で元を取れるかは回収期間法で計算できます。

今回は回収期間法の練習問題を作って、例題として解いてみます。計算は実際の仕事同様にExcelでやります。手計算や電卓では大変で、Excelの方が楽だからです。

会計初心者の方や会計の勉強をしている方は、ご自身でもやってみてください。そして参考にしていただければと思います。

回収期間法とは

回収期間法とは投資に使った資金の元をどれくらいの期間で取れるかを計算する方法です。基本的に年単位でCF(キャッシュフロー)を計算し、何年で投資額を回収できるかを計算します。

回収期間法
回収期間法は投資の元が取れる期間を計算することで、投資の是非を判断する方法です。

例えば1,000万円の投資を行って、毎年200万円の利益を得られれば、5年で回収できます。2,000万円の投資を行って、毎年600万円の利益を得られれば、3.33年すなわち3年と3ヶ月で回収できます。

このように投資額を得られるお金で割ることで、元を取るまでの期間を算出します。

いつになったら元を取れるのかが解らなければ、投資するか悩むでしょう。そこで回収期間法を使うことで、いつ頃までに元を取れるかが解れば、投資するかしないかの判断がつきやすくなります。

投資を検討するときの判断材料の1つとして使えます。

回収期間法の詳細と計算例についてはこちらに書いています。基本的なことはこちらの記事を参考にしてください。今回はいきなり練習問題から入ります。

それでは練習問題に入りましょう。

引っ越しと家賃ダウンで回収期間法の練習問題

郊外に引っ越して家賃を下げるケースの練習問題

Aさんは夫婦二人暮らしです。現在はターミナル駅に近いところのマンションに住んでいます。しかし家賃が高いですし、最近は高層マンションが増えて日当たりが悪くなってしまいました。

そこで郊外の家賃が安くて広々して日当たりもいい場所に引っ越そうと考えています。

現在の家賃は3LDKで15万円、引っ越し費用は20万円かかる見込みです。

引っ越し後は同じく3LDKですが、家賃は12万円まで下がります。現在住んでいる場所も、引っ越し先も、水道料金は大差なく、どちらも都市ガスが使えます。また電力は自由化していますが、引っ越し先でも同じ電力会社が使えることが解りました。

そのため引っ越し先では水道光熱費は変わらない見込みです。

引っ越し先は郊外な分だけ物価が若干下がるようです。調べたところ激安スーパーも何店舗かあるようです。そのため1か月の食費が3,000円下がります。

残念ながら乗換が1回増えてしまうので、交通費が1回の乗車当たり200円上がります。通勤費は全額定期で支給されるので問題ありませんが、通勤費が増えた分だけ社会保険料が4,000円上がります。

余談ですが通勤中も労災が適用されるため、通勤費が上がると給料から引かれる社会保険料等は増えます。

ちなみにAさんは電車通勤ですが、Aさんのパートナーはフリーランスでほぼ自宅で働いているため、交通費がかかりません。せいぜいクライアント先の訪問が数か月に1回ですので、Aさんのパートナーの交通費は無視します。

また休日のお出かけも乗換が1回増えた分、1回の乗車で200円上がります。Aさんは月に2回ほど、夫婦二人で街に出かけています。

Aさんは引っ越し費用を何か月で回収できるか計算してみることにしました。家賃が大幅に下がる以上、元は必ず取れると考えていますが、元を取るのにどれくらいかかるかが気になりました。

解答と解説

私がExcelで計算した例を貼ります。

郊外への引っ越しによる節約における回収期間法の練習問題の解答と解説
郊外への引っ越しによる節約を題材とした回収期間法の練習問題の解答と解説です。

投資額は引っ越し費用の20万円です。

節約できる金額をリストアップしてみました。今回は社会保険料と休日に街に出かける費用が増えますので、マイナスにすることで節約できる項目とまとめて計算してみました。

すると家賃が3万円の節約、社会保険料は4,000円の増加なので-4,000円の節約としました。休日のお出かけ費用は1人片道200円なので、2人で往復800円、月2回で1,600円です。これも増加なので-1,600円の節約としました。

食費は激安スーパーのおかげで3,000円下がるので、3,000円の節約です。

以上全てを合算すると、節約額は27,400円になります。引っ越し費用を節約額で割ると、回収期間を算出できます。気を付ける点は、この節約額はいずれも月額だということです。

すると回収期間は7.3か月となります。引っ越し費用が高くついたので(大手に頼んだか、繁忙期に頼んだのでしょう)、家賃が大幅に下がっても、元を取るのに時間がかかってしまうことが解りました。

しかし1年以内に元を取れるのなら十分でしょう。半年あれば16万円になりますので、旅行にも行けます。いい投資です。

M&Aで回収期間の練習問題

M&Aによる事業拡大を図るケースの練習問題

B社はX社を買収することで事業拡大を図ろうとしています。M&Aコンサル会社に相談し、X社を買収することで、シナジーが出そうだということが判明しています。

この買収ではX社を100%子会社にする想定です。X社の純資産額は1億円で、買収に当たってのれんも負ののれんも発生しません。買収金額は純資産額と同じ1億円です。

B社が今回の買収案件を依頼したM&Aコンサル会社は成功報酬制を採用しており、報酬は買収額の15%です。

買収後はX社の管理はB社の経営企画部の既存人員が担当します。新たに人を雇うことはありません。よって追加の販管費は増えない見込みです。

X社の決算書を見ると、直近の決算では税引後当期純利益は500万円でした。X社の税引後当期純利益は毎年大体500万円前後で、業績は横ばいのようです。

いつ頃この投資を回収できるか、B社の経営企画部は回収期間法を使って計算してみることにしました。

X社は伝統的な会社で非効率も多々見られるため、改善できる箇所が多いとB社は見ています。改善活動を継続的に行うことで、来年以降の税引後当期純利益は次のようになるとB社の経営企画部は見込んでいます。

税引後当期純利益(万円)
1年後1,000
2年後1,300
3年後1,600
4年後2,000
5年後2,400
6年後2,900
7年後3,400
X社で改善活動を継続的に行った場合の税引後当期純利益の見込み額

解答と解説

私がExcelで計算した例を貼ります。

M&Aによる事業拡大における回収期間法の練習問題の解答と解説
M&Aによる事業拡大を題材とした回収期間法の練習問題の解答と解説です。

投資額すなわち買収にかかった金額は、買収費用の1億円と成功報酬の1,500万円ですので、合計1億1,500万円になります。

利益額に関しては表にして累計額を書くとよいです。今回の場合のように現実には投資によるリターンが一定でないケースは多いでしょう。するとリターンが一定の場合と違って単純な割り算で計算できません。

累計額を表に書いていくと、投資額である1億1,500万円を超えるのが7年後と解ります。6年後までに回収できた1億1,200万円を投資額から引くと、300万円残ります。これを7年後の回収額で割れば、7年目に何か月で回収できるかが解ります。

よってB社のX社を買収する案件における回収期間は次のようになります。

6 + (11,500 – 11,200) / 3,400 = 6 + 0.088… ≒ 6.09年

意外と回収期間が長いと感じるかもしれません。ROEが一般的に8%あれば優良企業と言われていますので、5%くらいが普通と考えると、M&Aの投資を回収するのに20年かかる計算です。

しかしそれよりもM&Aする場合はグループでの連結決算が良くなるようにすること、そのためにシナジーを出したり、相互に補い合って力を発揮したりすることが重要になります。

システムの刷新による回収期間の練習問題

システムを刷新してコストダウンと利益アップを図るケースの練習問題

C社はシステムの刷新を考えています。

3つのフェイズに分け、第1フェイズでは非効率な業務の効率化に力を入れます。第2フェイズでは既存システムとの連携による効率化を図ります。

第3フェイズではサービスのカスタマイズやBI(ビジネス・インテリジェンス。データを様々な形で分析すること。)機能を搭載し、マーケティングに活用する目論見です。

各フェイズの開発予算は5,000万円です。各フェイズ1年ずつかかる見込みです。システム開発にありがちな納期の遅延の発生確率は低いとみています。理由は自社の業務をよく知っている信頼できるベンダーに依頼するためです。

IT部門が見込んでいるこの投資の効果は、第1フェイズで2,000万円のコストダウン、第2フェイズで1,500万円のコストダウン、第3フェイズで1,200万円の利益アップです。

IT部門長は経営会議の資料作成のために、新システムが稼働してから(今から1年後から)の回収期間を計算してみることにしました。

解答と解説

私がExcelで計算した例を貼ります。

システム刷新における回収期間法の練習問題の解答と解説
システム刷新を題材とした回収期間法の練習問題の解答と解説です。

新システムの稼働後から何年で回収できるかと計算すると問題文に書かれているので、第1フェイズの効果が出るのを、稼働から1年後として計算しています。

C社のシステム刷新は3フェイズに分けて行われるため、新システム稼働から1~3年後は利益額が変わります。

1年後は第1フェイズの2,000万円のコストダウンのみ、2年後は第2フェイズの1,500万円を加えて合計3,500万円のコストダウン、第3フェイズでは1,200万円の利益アップを加えて合計4,700万円です。

よって表で表した方が楽です。Excelで表に書いてしまいましょう。そして累計額も横に書いて行きましょう。こうすれば解りやすくなります。

利益の表を作ってみると、このシステム投資は4年とちょっとで回収できます。4年後には投資額近い1億4,900万円を回収できます。4年後までに回収できた金額を投資額から引いた金額を、5年後の回収金額で割れば、5年目に何か月で回収できるかが解ります。

よってC社のシステム刷新における回収期間は次のようになります。

4 + (15,000 – 14,900) / 4,700 = 4 + 0.021… ≒ 4.02年

システムは一般的に10年くらい使いますので、このシステム刷新における回収期間は悪くないでしょう。半分未満の期間で元を取れていますので、大きなリターンを期待できます。

終わりに

今回は回収期間を計算する練習問題を作って、Excelで解いてみました。なんでこんなことをしたかというと、たまには会計の勉強をしたいというのと、プロボノのために会計を勉強しておいた方がいいと思ったからです。

また私自身、大きな買い物をするときは、元を取ることを意識しています。会社の投資と違って個人の場合は満足度で元を取れるかどうかになりますが、それでも買うなら買った以上の何かを得ることを意識しています。

今回は私が仕事や家庭で考えたことを元ネタに練習問題を作ってみました。案外日常的に見かけることでも、練習問題の題材になるものです。

会計の勉強は練習が大事です。よって身の周りのもの・ことについて計算してみるのもいいと私は考えています。

また会計の勉強をするなら簿記の勉強が効率的だと思います。私は仕事で金融機関の経営管理や連結会計をやったときに勉強したので、資格を取ってないですし取る余裕もなかったですが、資格の方が近道かなと思うことはあります。

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会計の知識はしっかりと手を動かして身に付けていきましょう。

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